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  各論
§9  繊維
II  繊維工業技術の動向
5.  染色仕上

染色仕上技術の良否は,製品の商品価値を最終的に決定する。衣生活の高度化につれてこのことがあらためて確認され,繊維部門全体を通じて,染色仕上設備の近代化が一番めざましく全く面目を一新した。さらに連続化の方向に沿つて開発研究が進められ,多くの新鋭機械が出現したが,現在はこれらを使いこなして,優秀な製品の生産をはかる段階である。

しかし,高級品化につれて新しい問題が派生している。すなわち,製品が多種多様になり,同一品種のロツトが小口化したことである。これまでのオートメーション化が,製品の標準化,規格化による大量生産を前提として発展したものであるだけに,多種少量生産の時代に対処するためにはより高い高度の制御機構を備えた機械の開発が必要となつている。

合理化の一例として,毛織物乾燥工程をとり 表9-9 に示す。

表9-9 毛織物乾燥工程合理化の推移

また,わが国の染色工業は,一貫大メーカーの兼営部門と,専業の中小企業とから成り立つているので,それぞれ特長を生かして,分業協調体制をとる必要があろう。

染色技術はまた,合成繊維の進展とともに進歩してきた。たとえば最近までテトロンの難染性が焦点であつた。問題はテトロンの繊維構造が緻密なため染料が入りにくい点にあつたので,高圧染色法,キヤリヤー染色法,サーモゾル染色法等染料の浸透を容易にする7技術が開発され一応解決された。目下の難問はポリプロピレンの染色である。この繊維は構造が緻密な上に,テトロンと異なり,染料と反応する基を持たないために,テトロン以上に染色が困難であるが,繊維の改質とあわせて染色技術の研究開発が進められている。

染料と助剤の重要性については,論を待たないが,関連工業の基礎が強化されて,1)高級染料の品質向上とコストの切下げ,2)染料メーカーと助剤メーカーとの提携によつて,染料-助剤の適切な組合せを確立することが望まれる。

仕上技術の面で注目されるのは,綿のウオツシユ・アンド・ウエア加工である。現在国産技術によるもの2種,導入技術によるもの2種が市販されている。従来の樹脂加工がたんに繊維内部に樹脂を入り込ませ固着させるのに対し,この加工法は一歩進めて架橋結合を生成させ,湿潤時のしわ回復性が高くなるので,単独または乾燥時のしわ回復性の高い樹脂加工と併用してイージー・ケアーの綿製品をつくる技術てある。衣生活の簡易化に対応して,合成繊維の特長をとり入れ綿の体質改善をはかる注目すべき第一歩である。


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