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  各論
§9  繊維
II  繊維工業技術の動向
3.  紡績

紡績技術は工程の合理化,近代化によつて大幅の進歩をとげたとはいえ,従来経験的技術の域をでなかつたが,最近紡績工程中で繊維が受ける力,その動作を解明し,工学理論に裏付けられた紡績技術の確立をはかろうとする動きが高まつている。
(1) 綿紡績

綿紡績設備の近代化は,1)工程の簡素化,2)連続化,3)高速度化,4)ラージパツケージ化,5)自動化および自動制御化に集約され,機械部品として合成ゴム,マグネツトローラなど新材料がさかんに利用さている。

表9-8 に綿紡績の生産性の推移を示す。昭和25年と35年を比較すると,生産性が約2倍となり,しかも平均番手が2割近くあがつて高級化している。しかし,最近5年間をとると生産性上昇が鈍化する傾向にある。

表9-8 綿紡績生産性の推移

他方,このような頭打傾向を打開するものとして,東洋紡と豊和工業が共同で開発した連続自動化紡績設備(CAS)が注目される。CASは従来の5工程(混綿,梳綿,連篝,粗紡,精紡)を前紡(混打紡,梳紡,連篠を1工程にしたもの)と精紡の2工程に短縮し随所に自動制御技術を採りいれており,原綿を供給さえすればわずか1工程で均斉なスライバーがえられ,これをそのまま超ハイドラフト精紡機に供給するだけで,高品質の糸がえられる。綿糸1梱当りの直接人員は,在来設備にくらべ2.5〜3人と半減し,現在世界で隔絶しているアメリカの生産性(巻糸,荷造りを除き3〜4人)をも抜いている。その上,操作の簡単さ,管理の容易さ,糸質の向上,連続運転可能等のすぐれた性能を備えており,各国への技術輸出も進んでいる。
(2) 合成繊維紡績

合成繊維独特のものは,僅かにとうからの牽切紡績法が確立された程度で,現在まだ開発中の段階にあり,大部分は従来の紡績に若干の工夫を加えた設備を使用し,綿や毛と同様な工程で糸になつている。おもな問題点は,1)静電気障害の排除,繊維の機械的特性(長さ,太さ,強さ)の合理的活用,3)熱固定性を利用する紡績法の開発,4)混紡の合理化であるが,繊維に則した合理的な技術の確立が望まれる。

繊維工業試験所が開発した「コンバータ方式による長繊維化繊紡績法」が新技術開発事業団によつて企業化される見込である。


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