ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
  各論
§9  繊維
II  繊維工業技術の動向
1.  レーヨン・アセテート

レーヨン製造技術は,レーコン式(新三菱重工)コーホン式(三菱造船)マウラ式(川崎航空機)等の導入技術により,バツチ方式から連続方式への移行が進み,連続化,自動化,工程簡素化の効果がいちじるしく,薬剤回収装置の普及がこれに加わつて,製造技術はぎりぎりのところまで合理化されている。レーヨン,スフ工場の平均生産規模は,昭和33年12月の85.3t/日から昭和35年12月には95t/日と拡大し,150t/日という巨大工場まで出現している。これらの効果が総合されて, 表9-5 にみるとおり,レーヨン,スフ100kg当りの所要労働時間は,昭和30年の10.96から昭和35年には7.92に3割近く減少している。品質も自動制御の導入による品質の安定化,捲縮加工や樹脂加工の進歩によりいちじるしく向上している。

表9-5 レーヨン・スフ工程別所要労働時間の推移

レーヨンは上記の技術に裏付けられた低廉さを武器として,アセテート,合成繊維が本格的に登場するまでの間化学繊維としての利点を独占的に享受し,発展してきた。しかし,現在のように生活水準が向上し,高級品が望まれるようになり,一方では数多くの合成繊維の生産が軌道にのつてくると,その品質上の限界から需要は次第に減退している。元来安いのが取柄であつただけに価格切下の効果は需要拡大の決め手としてあまり期待できず,設備の廃棄,合成繊維への転換の動きが高まつている。したがつて,技術の焦点は品質の改善にあり,特殊スフの名のもとに 表9-9 に示すように数多くの新製品が開発され,その生産も逐次増えている。

アセテートの製造技術は,アメリカでは早くから確立され,その生産量は現在レーヨンに匹敵しているが,わが国のアセテート工業は最近漸く基礎が確立された段階である。この遅れは原料薬品の高価格が主因であり,日米両国の化学工業の力の差に基因するものといえよう。アセテートは美しさ,触感にすぐれ,パルプを原料としており,レーヨンの改質の一方向と見ることができる。

表9-6 特殊スフ一覧表

日本で開発されたものに繊維状酢化による酢酸繊維があり,アロンの商標名で生産されている。強カスフの酢化もできるという利点を持ち発展が期待されている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ