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  各論
§8  食品工業
III  食品研究の現状とその問題点
2.  殺菌および加熱



(1) 殺菌

従来,殺菌はすべて加熱によつておこなわれ,殺菌された食品はいずれも加熱変性をともなつている。

加熱変性を防止することに努力が集中され,牛乳の殺菌を例にとると,高温殺菌から低温殺菌,最近では高温瞬間殺菌,超高温殺菌などで処理技術の改良が進んだ。これにくらべ,生の魚,肉類,果実,野菜をそのままの形で殺菌するということは,ほとんど不可能とされていた。しかるに,最近,放射線(ガンマー線,陰極線など)の照射により,2〜5°Cの温度上昇のみで生のままの殺菌ができ,生鮮食品などの室温貯蔵が可能となつた。現状では,照射にともなう若干の変化があること(酵素作用の阻止とか,変色や照射臭の問題など)と経済性,食品衛生上の問題(食べてよいかどうか)が検討されている段階にある。低線量照射の実用化に期待がかけられ,じやがいも,玉ねぎの貯蔵中におきる発芽防止,トリヒネラ(豚肉によつて媒介される旋毛虫)の殺卵に応用する研究が進められ,またボツリヌス菌(缶詰の殺菌でもつとも問題とされている耐熱性菌)についても,低線量のガンマー線照射により,その耐熱性がいちじるしく減弱することがわかり,ガンマー線照射と加熱とを併用する研究がおこなわれている。
(2) 加熱

最近,赤外線ランプが調理加工に使用されるようになり,さらに超音波,高周波による加熱が実用化しかかつている。アメリカでは,すでに「電子オーブン」の名で販売され,加熱に威力を発揮している。

(a)超音波による加熱

通常の加熱が外部から内部へあたためられるのと反対に,超音波の場合は,24億5千万回/分という桁違いの振動数によつて生ずる食品内部の分子振動による発熱であるから,食品の内側から加熱される。普通半ポンド位の食品は,1〜2分で80〜100°Cに加熱できる。いまだ研究の段階であつて,内容物が均質であれば一様に発熱するが,種々の食品で構成されているときは加熱にむらが生ずるという問題がある。

(b)高周波による加熱

透明缶詰(豆の糖液漬,果実類など)に使用した場合,2〜3分で80°Cに上昇した例もあつて,食品加工への応用が検討されている。

ただ,超音波の場合とちがつて,適用範囲が塩分,蛋白質を含まないもの,たとえば果実などをはじめ,炭水化物を主体とする食品に限られること,また電極の位置などの複雑な条件が要求されること等が問題となつている。


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