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  各論
§7  水産業
II  水産技術の変化とその方向
2.  漁撈技術

漁船の大型化,高速化による漁場範囲の拡大,電子航海計器の発達による操業安全度の上昇などとあいまつて,魚群探査→集魚→捕獲を一連とする漁撈過程は著しく合理化された。しかし,欧米諸国にくらべると,その生産性は劣つているので,さらに漁撈には動力を用い,魚群の行動探知には,音響,光,電子などに関する技術を応用する必要があり,漁船も,船内における漁獲物の処理保存,活魚の保持などについて,設備の改良をおこない,また航海計器,機関などの改善,改良をはかり,その生産性を高める必要がある。( 表7-1参照 )

表7-1 漁撈技術の現状


(1) 魚群探査技術

魚群の探査,発見の方法は,漁況ならびに海洋調査の結果による海況の分析によつて漁場を推定するのが,その基本となる。

従来は,これをもとにして水色,現場の潮目,鳥つき,水泡などを肉眼で判定し,魚群の探査をおこなつた。最近,超音波工学の進歩による魚群探知機,(使用周波数帯域15KC〜200KC)が装備され,魚群の探査が機械化された。これは,魚群の密度だけでなく,超音波の反射度の差異により,プランクトン層はもとより,異質水塊の接触面,上昇流等の調査にも役立ち,マグロ漁場等の漁場成因要素をも探知している。

また飛行機による魚群探査あるいは観測―表層魚群(クロマグロ等),鯨等の探索飛行,水温,プランクトン,潮目等の海況調査の観測,定置網の形状とその魚道の観測,まき網船のまき網時における網と魚群の関係位置,網の展開,沈降状況の観測なども行なわれつつある。
(2) 集魚技術

音響,光(色),味(匂)などを用いる方法があるが,もつとも効果をあげているのは光によるもので,集魚灯として一般に知られている。集魚灯は魚の趨光性を利用したもので,感応の最低照度は10-2〜10-6ルックス程度,灯質は4,000Å程度の青色系の波長のものが,もつとも効果があるといわれる。

また,味(匂)を用いた撒餌集魚も,かつお一本釣,さばのはね釣などに使われており,集魚灯と併用し,効果を倍加している例もある。
(3) 捕獲技術

非常に多種類の捕獲漁具があるが,網漁具では旋網,曳網,敷網など,釣具では延縄類がのびている。また,大型スターントロール漁法,中層トロール漁法,マグロ延縄漁法,電撃漁法,ポンブ漁法などの研究,開発が進んでいる。

(a)大型スターントロール漁法:スターントローラは船尾に斜路があり,船尾より網の揚げ降しをおこなうので,従来のサイドローラに比し,投網揚網上有利となり,かつ船体の利用も効果的におこないうる。 トローラーも350トン,700馬力級のものから1,500トン級が出現している。
(b)中層トロール漁法:にしん,さば,たら,たいなど中層性の魚群を捕獲するため,底曳網が海底をはなれ,任意の深さを自由に引けるような,カイト式オッタートロール網や,フロートの曳船によつて流木抵抗を与えて浮揚力をもたせる方法などが用いられている。
(c)マグロ延繩漁法:延々数十浬にもおよぶ幹縄が延べ出され,釣鈎に装餌され,海中に展開,魚のかかりを待機する大規模なもので,わが国独特の技術である。漁具の取入収納は揚繩機,漁具流失防止のためラジオブイまたはコーナーリフレクター(電波反射体)が使用されている。
(d)電撃漁法:使用電流は持続波の220ボルト60アンペアで捕鯨に実用化試験がおこなわれ,また低周波電流を用いて300〜400ボルト,2×3×10-1秒の衝撃波によるまぐろ,さめなどの刺殺に成功したが,しずれも経済上の問題とか,あるいは電気絶縁上の不良,海上操作の手荒さによる漏電の危険があることなどで,いまだ実用化されていない。
(e)ポンプ漁法:集魚した魚群を網でかこみ,これに陽極を入れ,魚を麻痺状態にしたのちポンプで吸上げる方法,または活魚の状態でポンプで魚そうに吸上げる方法がある。外国では,すでに実用化されているようであるが,わが国では現在,漁場における実用化試験が実施されている段階である。また,従来試験場などで集魚灯とポンプを組合わせたものの試験や,まき網漁業にいわしを対象魚としてポンプ漁法がおこなわれたことがある。

つぎに,生産資材である漁網,綱などが従来の綿糸,麻などより各種の合成繊維へとうつり,色々な比重の合成せんいを組合せて,漁法に適した各種の漁網(刺網,曳網,底網など)がつくられるようになり,漁業経営の合理化,母船式漁業の促進等のかげの力となつている。


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