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  各論
§5  農業
III  農業技術の新しい萠芽
3.  機械化営農

水田作,畑作については大型トラクター営農の確立が重要な課題である。

大型トラクターは現在なお4,500台にすぎず,動力耕耘機にくらべればやつと普及のきざしがみえ始めた段階である。その普及も北海道が過半を占めており,また利用面でも深耕,心土耕,混層耕等といつたような土層改良に使われている例が多い。1つの例をあげれば,昭和31年から昭和33年にかけて兵庫県竜野市の1農協では,地区内の水田の土壌を5年に1回づつ深耕する計画で,ファーガソン等数台のトラクターを買入れ,農家の求めに応じて深耕を行ない大きな成果をあげている。このような例は全国各地に増加の傾向にあるが,まだ本格的に管理作業,収かく運搬作業まで一貫して機械化されている例はきわめて少ない。実験的には,たとえば東大付属農場や,農林省の試験場ならびに農林省の指定した「農業機械化実験集落」等で昭和35年度よりはじめられている。

大型トラクター営農を進めるにあたつての技術的問題は大きくいつて3つある。第1は,機械の開発,改良の問題である。現在わが国で使われているトラクターの大部分は外国製であり,これは北海道のような作付の簡単な平坦な畑に適するが,水田や内地の傾斜の多い畑では必らずしも適当ではない。水田等の利用のためには,15〜20馬力程度の軽量で,かつ強度な作業を行ないうる新しい構造,機構の乗用トラクターを開発する必要がある。それとともに,耕耘整地用作業機,播種施肥機,田植機,刈取調整機(コンバイン)病虫害防除機具,除草剤撒布機等の研究,開発が強力かつ急速に行なわれなくてはならない。このため農林省で昭和37年より政府と民間の共同出資による特殊法人農業機械化研究を設置することになつている。

第2は,土地条件である。わが国の耕地は一般に傾斜地が多い。しかも,従来の手労働,畜力耕起が基準となり,耕地の区画が狭く,従来の区画整理では5〜10アール程度が基準であつた。しかし農林省でも今後はできるかぎり30アール程度を基準とする大区画の圃場の形成を推進し,水利条件の完備,農地,の集団化,農道の改善を合わせ行なうことにしている。なお大区画圃場のための土地改良についても従来データーに乏しく,試験研究の推進が急がれている。

第3は,品種ならびに栽培法の確立の問題である。水稲については直播栽培技術の体系を早急に確立することが望まれており,そのほか,機械化に適する品種,施肥法,栽培法,作付体系およびそれに伴う新しい病害虫の防除等が早急に研究されなくてはならない。

以上のように,最近の農業技術はめざましい発展をとげたにもかかわらず,農業のおかれている社会経済的情勢のために,さらに飛躍的な前進が望まれているのである。


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