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  各論
§4  電子技術
II  電子技術の利用分野とその現状
6.  医用電子技術

電子技術が,医学の分野に導入され,医用電子装置として,診断,治療などに利用されているが,これが他の分野の電子装置と大きく異なる点は,直接人体に関することに応用されることである。したがつて,電気的性能が良いことはもちろん危害防止が十分に考慮されていなければならない。

わが国では,実用化されている一部の医用電子装置についてはその有用性が評価されているが,一般的に他の電子技術部門に比べて著しく遅れている。これは医用電子技術の有用性について,まだ一般の認識が十分でないことに根本の原因がある。

医用電子装置は,一般の診断用,治療用のほか,生体の基礎研究用,生体機能代行用など多種多様の目的をもつているため,一口に医用電子装置といつても,これに要求される条件にはかなりの差異がある。

現在の医用電子装置は,,診断用より治療用の方が,また基礎医学用よりも臨床用の方が実用化が遅れている。これは,臨床面の治療に用いる装置の良否がただちにこれを利用する人の生命に関することをつねに念頭におく必要がある上に,実際に装置を扱う多くの人が電子工学的の面では素人に近いので,性能の問題とともに取扱いが簡単で故障がなく,危険防止が完全であるなど多く要求を満足しなければならないためである。

現在,電子技術を導入した装置を数えれば100に近いものが挙げられるが,これを大別すると 表4-6 の5つに分類することができる。

しかし,これらの大部分は研究時代にあるか,あるいは研究にもとりかかつていないものである。

表4-6 医用電子装置の分類

わが国で一般に知られている医用電子装置には,心電計,脳波計,電子顕微鏡,光電比色計などがあるが,最近の医用電子技術の研究はさらに進み,たとえばラジオ・カプセルをのませてテレメータ方式で消化器の圧,酸度,温度などを測る方法とか,X線螢光像増強装置,超音波診断器などが,試作をへて夾用化されている。

現在の医学の領域では将来ますます電子技術を盛んに応用するすう勢にある。したがつて,装置の面でもすでに開発された装置のトランジスタ化とか,装置の主体をなしていた増巾器のほか良いトランスジューサの開発などが要求されるまたこれまでの医用電子装置には,与えられた現象を観察して利用者の主観に頼る点が多かつたが,これを科学的に判断しうる手段に切換えていくなどの問題も残されている。

しかし,医用電子装置の研究開発は電子技術と医学の密接な協力なくしては実現不可能であり,また,その性格上国家が直接その中心となつて行なわれなければならないものである。このため現在工学と医学を一体とした学会の設立,あるいは病院と密接な連絡をもち臨床面の研究を充分に行ないうるという条件を満たす国立医用技術研究機関の設置などがさけばれている。

このほか,医用電子技術の研究に従事する研究者の養成の問題についても,医学知識を持つた電子工学者,電子装置を自由に扱える医学者の養成が必要であり,これには大学などにおいて医用電子技術関係講座の新設などの措置を講ずることが望ましい。


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