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  各論
§4  電子技術
II  電子技術の利用分野とその現状
5.  電気通信技術

電子技術の母体となつた電気通信技術は,従来もつぱら電子管とその応用に関する装置の面で発達してきた。半導体,強磁性体など部品材料のいちじるしく発達した今日でも,電気通信は,依然として電子技術応用分野の中心的存在であり,方式的にもまた個々の装置においても新らしい開発が進められている。

ここでは電気通信の各部門で電子技術が,どのように適用されており,また実用化研究が行なわれているかについてのべる。
(1) 交換技術と電子技術

現在用いられている交換機は,ほとんど電磁的作用により機械的に動作する接点をもつスイツチや継電器で構成されているが,これらの部品の代りに電子部品,たとえばトランジスタ,ダイオード,パラメトロン,磁性体などの固体電子部品と電子管とで構成されるのが電子交換機である。

現在研究されているのは共通制御方式で,装置は通話路部と制御部に分けられ,制御部のみを電子化し,通話路部には機械接点を用いる半電子交換と,両方とも電子化する全電子交換がある。

この電子交換方式は,電子部品の発達と相まつて,現用方式より相当有利なものが期待されるが,電話機および既存設備との接続系の問題も研究されねばならない。
(2) 伝送技術と電子技術

伝送部門においては,古くから真空管,その他の部品に電子技術が適用されていたが,さらに各種電子管の発達について,半導体,磁性体などの開発により,通信機器にいちじるしい変化をもたらした。とくに通信機器の固体電子化は,機器の小型化,所要電力の僅少化,固体電子を利用した低雑音化に目的をおいている。

電気通信の伝送装置は,有線と無線に分けられ,いずれも進歩の方向は伝送距離の延長と広帯域多重化を指向しているが,有線部門においては同軸伝送方式,無線部門においてはマイクロ波伝送方式が主な研究対象となつている。

現在,有線通信においては,同軸伝送方式をはじめその他の方式における端末機器(通話路変換部,群および超群交換部,搬供装置など)が,従来の真空管式から全トランジスタ化されているが,同軸方式における中継器のごとく広帯域,高周波,窩出力を要求する機器にあつては,13MC帯の細心同軸方式を除いて,いずれも試作試験中である。

しかし,4MC帯あるいは12MC帯の同軸中継器のトランジスタ化も,従来トランジスタの欠点とされていた周波数帯域幅,出カレベルに対する制限が,克服されて,近く実現されることが期待されている。

マイクロ波伝送方式に関しては,現在わが国において2,000MC帯より,13,000MC帯まで実用化されているが,伝送容量としてはカラーテレビ用はもちろん電話1,200通話路の高性能機器が開発されている。

マイクロ波伝送機器においても,半導体の応用はめざましく,マイクロ波管以外はすべてトランジスタ化されたものが生産さ11,000MC方式において,局部発振器をのぞき全面的にトランジスタ化した短距離即時通話用が実用化されており,また,最近注目のマイクロ波増巾器に,マイクロ波パラメトリツク増巾器やメーザがあるが,これは半導体ダイオードや人工ルビー,あるいはガス体などをおもな増巾素子としたので,とくに雑音の発生が非常に少ないことから,微弱な電波を受ける宇宙通信,見通し外通信などに利用することが期待される。
(3) データ伝送

I.D.P(Integrated Data Processing)方式における情報を遠隔地に伝達するための新らしい通信方式であるデータ伝送では,高度の信頼度と,高速度の伝送が要求されるが,伝送路として現用の電信電話回線網を利用する点に問題がある。信頼度としては,符号パルスの誤り率が現用電信回線より2ないし3桁高い10-7以下が必要であり,このため伝送系における符号ひずみの増加や時々断などに対して,電子部品を使用する安定な送信機,伝送路,受信機が実用化され,また誤りに対する保護装置いわゆる無誤字装置が使用されるが,これは現在研究ないし試作の段階にある。

また速度の点では現在の50ボー電信回線を使用する方式と電話1回線を使用して高速度伝送を行なう方式があるが,IDP方式をとおして高速度化することを考えると,端末の電子計算機本体の高速度化をトランジスタその他の電子部品で行ない,また速度の遠い入出力装置を使用する場合には,時分割通信方式の適用により調和を保つこともできる。
(4) その他

その他,比較的S/Nの悪い回線での高品質伝送あるいは超長距離の高品質伝送に適している符号変調による通信方式(PCM方式)などがあり,従来はかなり装置が複雑で,またかなり広い伝送帯域を必要とすれており,その他の電子部品も新らしい伝送方式の開発に役立つている。すなわち,るなどの欠点があつた。

しかし最近の超高速半導体素子ならびに電子回路技術の進歩によつて,技術的には解決し,また経済性の問題も素子ならびに他の新らしい通信方式技術の開発とともに方式的に整合のとれる適用分野が明らかになつてきた。

たとえば時分割多重による電子交換方式との整合方式,また超多重電話あるいはテレビ信号のミリ波伝送路を前提とした超広帯域,長距離,高品質伝送に関するものなど他の伝送方式では達成困難な高品質の全世界通信網実現の可能性も認められるようになつている。


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