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  各論
§3  材料
IV  生産技術の発展

いかにシヨツクレイが高純度ゲルマニウムの半導体特性を発見しても,高純度ゲルマニウムの大量生産が不可能であれば,現在の半導体における隆盛はみられなかつたはずである。塩化物蒸溜精製,ゾーン精製法およびフロート精製法,単結晶引上などの技術を背景にして,ゲルマニウムおよびシリコン半導体がエレクトロニクス時代の寵児となりえたのである。

また現在新金属という用語がよく使われているが,これらの金属が最近発見されたからではなく,最近になつて経済的条件を満足して工業的に生産できる技術が開発され,広汎な用途をもつようになつたからである。

もちろん,新らしい材料の開発や在来の材料の改良は,生産技術だけで達成できるものではなく,関連技術の進歩にまつところが大きい。

たとえばポリエチレンをはじめとしたプラスチツク材料が今日のように大量かつ安価に生産できるようになつたのは,触媒,高温高圧反応,自動制御,機械装置などの技術が総合化された結果にほかならない。

ところで最近材料間の競合という問題が起きており,構造材で重量比90%以上を占めていた鉄鋼材料が,アルミニウムなどの軽金属やプラスチツクなどによつてその需要分野を蚕食されている。 図3-3 に世界の粗鋼およびアルミニウムの生産の推移を示すが,現在の傾向がそのまま続けば,昭和45年頃には両者の生産量は容積でみるとほぼ同一になると推定されている。

しかし鉄鋼材料も傍観している訳ではなく,これが刺戟になつてその生産技術を発展させ,自らも脱皮して対抗している。すなわち真空鋳造,真空溶解,熱処理技術などの発展によつて,鉄鋼材料もいちじるしく改善され,また鉄鋼だけではどうしてもえられない複合特性が必要な場合には,アルミニウム,プラスチツクなどの利点をとり入れてアルミナイズト鋼,ビニール被覆鋼板として逆に木材やアルミニウムの分野に進出している。

このように鉄鋼はユーザーからの要求が苛酷になるにつれ,自己変革をとげながら,ますます多面的な形態をとりつつ自己の秀れた性質をひき出していくであろうが,鉄鋼の大量消費が続けば,鉄鉱石や石炭の低品質化はまぬがれず,従来のような高炉-平炉・転炉体系の技術に依存するかぎり,将来,鉄鋼コストは,上昇傾向をたどる可能性が大きい。そうすれば軽金属やプラスチツクとの競合において,鉄鋼は不利な立場に追いまくられるかもしれない。このような障害をのり越えるには,将来,鉄鋼技術体系の根本的変革が必要になると思われ,かくして直接製鋼法が注目を浴びることになる。アルミニウム生産においても,アルミナをつくることなく直接アルミニウムを精練するプロセスによつて従来法が置きかえられようとしており,また連続鋳造法とか型鍛造技術などの金属加工技術の発展は,現在のオートメイシヨン化した分塊圧延機やストリツプミルを不要にするばかりか,トランスフアーマシンに代表される機械加工をも不必要にする可能性さえ示している。

このように金属材料だけでなく,プラスチツクなどにおいても,技術が絶えまなく変化している現在こそ従来もつとも欠けていた技術開発のポテンシヤルを蓄積するチヤンスと考えられるので,胎動しつつある新技術の開発に自ら手を染め,「導入技術が導入技術を呼ぶ」悪循環から脱け出すべき時期に来ているといえる。

図3-3


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