ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
  各論
§3  材料
II  需要分野の要請と材料開発

材料はそれ自身の技術進歩によつて,関連分野に大きな変革を要求するとともに,それを使用する需要分野からの要請によつて変化する。

これまではむしろ後者の面が強かつたといえる。たとえば,鉄鋼材料をみると,方向性珪素鋼板,シートパイル,軽量形鋼,ガードレイル,スパイラル鋼管,高張力鋼,各種表面処理鋼板などの新材料がぞくぞくと出現しているが,これは最近における需要構造の変化を抜きにしては考えられない。すなわち昭和30年以降,鉄鋼の国内市場は,耐久消費材を軸とする機械工業の発展,大規模化した建設投資の伸展などを中心として急速に拡大し,これに即応して鉄鋼業も機械工業における量産体制に見合つた量産規模の拡大,消費パターンの高度化に応じた新材料の開発を行なつてきた。前者はストリツプミルの導入による薄板の大量生産化に代表され,後者は加工性や耐久性の改善とか,美くしさの向上による高級化に現われている。

しかし,これら新鉄鋼材料開発の背後が平穏であつた訳ではなく,アルミニウムやプラスチツクとの競合ないし代替の関係が自動車,容器などの需要分野で激しい勢いではじまりつつある。たとえば米国の例であるが,「昭和35年に使用されたデルリン(ポリアセタール樹脂)の82%は金属の代用としてであり,このうちの33%は鋼の代用であつた」,また今日すでに「約250ポンドの自動車鉄鋼部品が65ポンドのアルミニウム部品に置き換えられた」といわれている。

以上のように,最近の材料開発の動向をみると,需要分野の技術進歩にともなう使用条件の変化が大きな要因となつている。以下に,従来からの用途で物理特性などに対する要求の苛酷化にこたえる場合と,従来なかつた用途でまつたく新らしい特性を要求されて開発される場合とにわけて記述する。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ