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  各論
§2  原子力
II  開発利用の現状
2.  原子力発電



(1) 欧米の計画概要

原子力平和利用の最大の焦点は,商業ベースにのつた原子力発電の実用化にある。最近の石油供給力の増大と火力発電の経済性の向上は,原子力発電開発に一層きびしい条件を課すことになつた。しかしながら欧米諸国は,それぞれの国情に応じて 図2-1 に示すような原子力発電計画を樹立し,実用規模の原子力発電所の建設を進めている。

図2-1 各国の原子力発電計画

英国は,昭和40年までに150〜200万kWを発電する原子力発電計画を昭和30年に発表したが,スエズ動乱を契機として,発電計画は500〜600万kWに拡大された。その後,石油エネルギーの供給力の増大,建設資金調達,火力発電コストの低下などの事情から計画変更が行なわれ,現在の原子力発電計画(35年決定)は,43年までに500万kWの開発を目標にしている。現在,英国では,コールダーホール(15万kW),チャペルクロス(15万kW)バークレイ(27万kW),プラツドウエル(30万kW)などが運転中である。

米国においては,昭和43年までに化石燃料の高い地域で原子力発電所が経済的に競合できることを目標にした「非軍事用動力炉計画」(34年発表)に基いて原子力発電所の建設が行なわれ,現在,シツピングポート(電気出力6万kW),ドレスデン(電気出力18万kW),ヤンキー(電気出力14万kW)の各発電所を含め6ヵ所,計約40万kWが運転中で,1963年末には20ヵ所,約100万kWになる予定である。

このほか,フランスでは40年までに約120万kWを目標に原子力発電所を建設中で,50年までに約800万kWを開発する計画である。また,エネルギー資源の乏しいイタリアでは15〜20万kWの各種炉型の発電炉3基を米国および英国から導入建設中である。

現在,欧米においては,商業規模で原子力発電を行なつている動力炉は,英国の天然ウラン黒鉛減速型,米国の濃縮ウラン軽水減速型(加圧水型と沸騰水型)である。これらの発電炉は,開発段階であり,いずれも現在のところ,原子力発電コストは新鋭火力発電コストと競争できない。しかし,最近著しい低下を示している新鋭火力発電コストに対抗するため出力の上昇,高温化の努力が続けられている。最近米国では在来火力の発電コストの高い地域でこの型の炉を採用した原子力発電がここ2〜3年で競争できるのではないかともいわれている。また,英国のコールダーホール改良型炉はすでに大規模な原子力発電所として建設または運転されており,その発電コストは, 図2-2 に示すようにここ数年で著しく低下することが推定されている。

発電コストのうち主要な位置をしめる原子力発電所の建設費は 図2-3 にみられるように安全確保など原子力発電所に特有な施設などのため,在来火力発電所と比較してかなり高いが,発電所出力の大型化にともない低下している。

図2-2 発電コスト低下予想


(2) わが国の長期見通し

昭和36年2月に改訂された原子力開発利用長期計画においては,前期10年を開発段階,後期10年を発展段階として長期見通しをたてている。10年後にわが国が必要とする総発電設備容量は,5,300万KWと推定されているが,上述の如く,この時期までは原子力発電が在来火力と対抗して経済性をうる見通しはないが,この後の10年間の開発に備えるために適当な規模として,100万kWがえらばれた。後期10年においては,原子力発電が経済性を持ち,基底負荷の一部を受持つとの想定から,この期間に開発すべき総火力発電設備容量の約30%に相当する600〜850万kWの建設を計画している。したがつて,わが国の今後20年間の原子力発電規模は700〜950万kWになり,現在の全火力発電設備容量約800万kWに匹敵することになる。

図2-3 原子力発電所の建設費

日本原子力発電(株)は34年12月政府の認可をうけて,わが国における実用規模の原子力発電所第1号としてコールダーホール改良型原子炉(天然ウラン黒鉛減速炭酸ガス冷却型,電気出力16万6,000kW建設費約350億)について英国原子力公社と技術援助契約を,また英国GECと建設契約を結び,40年春完成を目標に茨城県東海村に建設中であり,これにより,原子力発電所の建設技術の経験および運転技術の修得を行ない,技術者の養成を図ることとしている。更に2号炉として軽水型炉の導入を検討中である。将来は,上記計画にそつて各地に原子力発電所が建設されることになるが,電力需要地点,人口密度,地盤,冷却用水などの条件を満足する発電所敷地の選定,核燃料の確保,建設資金調達などの考慮が必要になるであろう。


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