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  各論
§I  新科学領域
IV  分子レベルの生物科学
3.  光合成

光合成は生物により光のエネルギーが化学エネルギーに転換される過程である。研究の歴史は古いが,最近になつて,光と葉緑粒が関与するのは従来考えられていたように炭酸ガスを同化する反応ではないことが確認された。すなわち光によつて直接つくられるのは生体内のエネルギーをになう物質であるアデノシン三燐酸(ATP)とピリジンヌクレオチド(PNH2)であつて,炭素を同化する作用は,この二つの物質が過剰にあれば光がなくても通常の呼吸作用の反応(炭化水素が酸素によつて,酸化されATPとPNH2が生じ炭酸ガスになる)が逆に進むことによつていつでも起ることが解明された。さらに従来の生化学的研究のほかに現在,葉緑体の立体構造中におけるエレクトロニクスやその光物性とう面の研究が進み,電子スピン共鳴装置(ESR)などを用いて分子内電子の行動が研究されている。

わが国でも昭和33年から光合成の総合研究を生体酸化還元およびエネルギー転換の総合研究に転換し,昭和35年大阪大学に大型のESRが設置され,昭和36年には分子内電子を中心とした生物学シンポジウムが開かれた。また東京大学を中心とした原子分子の量子力学を研究していたグループも,この生体内の分子下電子の行動の研究に着手している。


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