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第III部  現代社会における科学技術の役割
第2章  雇用・労働
III  労働環境の向上

技術革新の進展にともない労働環境も画期的に向上した。たとえば,高炉の作業は,計測機器採用により自動化され,炭坑の切羽において冷房装置が採用されて,高温高湿中における作業条件が改善され,またセメント工場における防じん設備の採用など作業環境の改善は顕著である。また,オートメーション化は,重筋肉労働に伴いがちの災害の発生を減少させ,有毒物質や爆発物質などの危険物の操作から人間を遠ざけ,いわゆるリモート・コントロールを可能にして労働の安全性を高めている。

このように,労働環境が向上した結果,労働時間当りの労働災害は漸減傾向をたどつている。すなわち,労働災害度数率で,昭和27年度39.24,昭和30年24.49,昭和35年17.43となつている。

製造業についてみると,とくに,近代的な機械設備と新鋭生産技術を採用した度合の強い業種ほど,度数率の減少はいちじるしい。これを産業別に昭和27〜35年間の期間についてみると,それぞれ,電気機器73.9%,輸送用機器72.9%,化学および石油70.9%,鉄鋼および非鉄69.4%の減少を示している。またセメント,高炉製鉄,自動車等技術革新の急速に進展した分野では8割前後の減少率を示している。しかし,労働災害は,全企業を通じて減少したわけではない。労働災害の減少の主原因が機械化の進展した大企業とこの面での近代化が遅れている中小企業との間には,労働災害の減少に異なつた面が表われている。 表III-2-4 にみられるとおり,100人以上の各規模で大体減少傾向をつづけているのに対し,99人以下の中小規模の企業においては反対に増加傾向を示している。他方,技術進歩に伴つて,新しい労働条件に関する問題が発生しはじめている。

図III-2-3 産業別災害度数率の変化

表III-2-4 製造工業規模別災害度数率の推移

すなわち,各種の新しい労働対象の出現は危険な有害な化学的物質に労働者を接近させる機会を増大させている。ダイナマイト製造工程におけるニトロ・グリコール中毒はこのような場合におこる新しい職業病の一つである。また,流れ作業による機械的単純作業や看視作業の増加による単調感,緊張感等の精神的衛生部門の問題などがある。最近ときどき,新聞紙上等に見られるキイパンチヤーの問題もこの種の職業病といえよう。


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