ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
 
第III部  現代社会における科学技術の役割
第1章  国民生活
IV  医療技術の進歩と国民生活

医療技術の進歩は国民の疾病構造を大きく変化させ,平均寿命を伸長させている。

戦後,ペニシリンやストレプトマイシンなどが技術導入され,肺炎,赤痢,肺結核に著効をもたらしたが,その後わずか10年あまりの間に新しい抗生物質が相ついで開発されている。

また,肺結核症に対する胸部外科手術の進展を可能にしたものは,麻酔技術,大量輸血技術の進歩であり,これらの技術はやがて循環器外科療法への道をひらいた。

さらにウイルス性疾患に対する予防ワクチンの研究も次第に進み,ポリオワクチンの投与は,昭和36年のポリオ流行防止にあたつて大きな威力を発揮した。

その他人工臓器,数々の新薬などの開発により医療技術は飛躍的な発展を遂げている。

この結果,国民の疾病構造は大きく変化し,かつて国民病といわれ昭和初期から同25年まで死因順位の第1位を占めていた結核は昭和35年には第7位に,また,昭和22年に第2位であつた肺炎および気管支炎は第5位となつた。しかしながらこの反面脳卒中,がん,心臓疾患などの成人病が増加して上位を占めるようになつた。

これは,結核,肺炎および気管支炎の著明な減少に伴う統計上の相対的増加というより,死亡率の低下に伴う老年層の増大によるもので,今後の人口構成の推移から考えて,当分はこの傾向が続くと考えられる。

従つて,いわゆる成人病に対する研究は,より重要なものとして推進する必要がある。

これら医療技術の進歩と新薬の出現は,国民の体位向上,健康水準の上昇等と相まつて,最終的に国民の平均寿命を大幅に伸長させ,昭和10年当時男は46.9歳,女49.6歳であつたものが,昭和25年には男(女)の58.0(61.5)歳,30年63.9(68.4)歳,さらに35年には65.3(70.2)歳へと逐次伸長をみせている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ