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第III部  現代社会における科学技術の役割
第1章  国民生活
III  生活環境

国民生活の水準を表わす指標としては消費水準と各個人の資産の大小および社会的資産を考慮に入れて考えなければならない。

昭和33年を基準とするこれらの諸指標は, 表III-1-2 のとおりであつて,生活環境水準が,消費水準,個人資産の増加傾向等に比し立ち遅れていることがわかる。
1. 生活環境施設

上下水道およびし尿処理,ごみ処理などの生活環境施設の整備は欧米の先進諸国に比してかなり遅れている。すなわち,上水道の普及率は昭和36年末において51.2%を示しているが,これを欧米の都市の65%から90%に比較すればかなり低率である。また下水道の普及についても全国都市部の面積に対する下水道施設の割合は13.3%に過ぎない。し尿,ごみ処理についても衛生的処理施設による科学的な処理量は次第に増加しているが,人口が急激に増加する大都市については,処理量の増加に対して,処理施設の増強が追付けないのが現状である。
2. 公害および地盤沈下

人口の集中,高層建築物および工場の増加により,水質汚濁,騒音,煙害などの公害が増加し,さらに地下水の汲上げなどにより地盤沈下も次第に広い範囲に広がり,社会上の大きな問題となつている。

表III-1-2 消費,個人資産,生活環境水準比較表

水質汚濁については,水質汚濁防止に関する基本的法律として「公共用水域における水質の保全に関する法律」が昭和33年12月に制定され,また同時に「工場排水等の規制に関する法律」も制定されたが,これに関連して,水質規準の統一,汚染処理施設の研究,および土木的対策などの研究の推進が必要とされるが,これに加えて下水道整備が促進されなければならない。また煙害,騒音などについても,量的調査,規準,対策の研究が必要である。

地盤沈下については昭和37年4月,地下水採取の規制法が成立したが,さらに積極的な対策の研究が必要である。
3. 都市交通

大都市の交通事情は,通勤時の混雑と道路交通まひおよび交通事故の増加によつて示されている。

首都圏,阪神,中京の各大都市圏の輸送人員は 表III-1-4 に示されるように,昭和30年から34年までの間に約35%の増加を示しているにもかかわらず,輸送施設の増強がそれに伴つていない。

道路交通においても同様のことがいえる。すなわち,東京都,愛知県,大阪府の自動車数の推移は 表III-1-5 に示されるように4年間に約2倍になり,東京の祝田橋,大崎広小路および大阪の梅田新道,天満橋などの主要交叉点における1日の通過台数も4年間に1.5倍から2倍に増加している。

また交通事故も増加の一途をたどり,全国における交通事故死者と自動車の台数との関係を見ると 図III-1-9 のようになり,両者の増加傾向には,きわめて密接な関係があることがわかる。

表III-1-4 輸送人員推移表

表III-1-5 自動車数の推移

このため,車種によつて昼間の乗入れ制限を行なうなどの対策が立てられていると同時に,交通情報の把握,誘導方法,交通信号間隔の適正化などに関する科学技術の研究,利用がなされ,また首都高速道路をはじめとして都市街路の整備も行なわれている。

しかし,これらの対策も部分的な,しかも応急的な対策に過ぎず,都市計画を中心とした根本的な計画技術の研究および,その成果の実施をはかるうえにおいて積極的な行政上の措置が必要である。

図III-1-9 自動車台数と交通事故による死亡者との関係


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