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第II部  科学技術発展の基盤
第3章  情報活動
IV  今後における科学技術情報活動の問題点

科学技術情報活動において成果をあげるためには,相当な密度で情報処理を行なう必要があり,それには莫大な労力と多額の経費を必要とする。わが国は情報処理の面でも,欧米,ソ連などにくらべ相当の遅れが目立つており,その早急な整備が要請されるので,各企業や研究機関では,その独自の分野に専ら力を集中し,普遍的な情報分野については公共的な情報機関が受け持つという分業体制を樹立することがのぞましい。

しかるに現在では,科学技術に関する公共的な情報機関は,一部を除き極めて弱体であり,科学技術普及のための地域的連係組織もほとんど整備されていない。このため,科学技術の分野を総合した機関の設立または育成をはかるほか,専門のデータ・センターや科学技術の普及のための地域的連係組織の中心となるような情報機関についても検討が望まれる。さらに外国文献の利用を高めるために個人または各種機関により邦訳された外国文献を登録し,広く一般の利用に供するような機関の設置も情報活動促進の一環として考慮する必要がある。

また情報専門家は科学技術情報活動を円滑に行なうかなめとなるものであるが,この活動ば比較的新しい事業であり,まだ人材が甚だ少ないので質量ともに十分な人材を養成することが,必要である。しかしわが国では情報専門家の養成機関はほとんどなく,人材供給についての大きな障害になつている。したがつて情報専門家の養成を強化するため,将来は全国いくつかの大学にドキユメンテーシヨンに関するコースを設けることについて検討することが必要とされているが,さし当つては図書館職員の教育,育成施設における科学技術関係のドキユメンテーシヨンの教育を強化するとともに専門情報機関に養成所を付設し,社会人の再教育を行なうことが考えられている。

大量の情報を貯蔵し,必要に応じて所要の情報を速かに取り出すことや,外国語を自動的に飜訳するなどの情報処理技術は毎年増大する情報に対し,これを有効に利用するためには欠くことのできないものであり,ことに最近では電子技術を駆使する画期的な自動検索方式の研究が進められ,これらの開発により将来情報処理技術体系のみならず情報の組織体系に重大な影響を及ぼすことが必至と考えられる。これら技術の開発は一刻もゆるがせにできないものであるが,ごく一部をのぞきほとんど見るべき活動が行なわれていないので,その重要性にかんがみ,強力な試験研究を行なうとともに,国際協力を進めて情報処理技術の開発を推進することが期待されている。

以上のように,科学技術情報活動は極めて重要であるが,多額の経費と多大の労力を要し,またきわめて地味な仕事であるため,この活動を振興するには制度,人,技術など各方面にわたる国の施策が必要であり,また強力な財政援助も必要とされる。


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