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第II部  科学技術発展の基盤
第1章  研究活動
IV  諸外国の研究活動



1. 主要各国の科学技術研究費

図II-1-19 は主要諸外国の科学技術研究費を大体同じ年度を使つてわが国と比較したものである。この図からもわかるように,現在世界の科学技術をリードしているとみられるアメリカおよびソ連が,研究費の面でも圧倒的に大きく,それぞれわが国の24倍,16倍となつているが,わが国の研究費もここ数年の急速な伸長によりヨーロツパの3国とかなりの接近をみせている。

また,各国の科学技術研究費の国民所得に対する比率をみると 図II-1-20 のようになる。

これによれば最高はやはりアメリカの3.1%であるが,科学技術会議が,わが国の研究投資の目標をきめる上に範としたイギリスは当時の2.0%から急速に伸びて2.6%となり,ソ連を追い越して第2位になつている。わが国はフランス,西ドイツと肩を並べているが,早急に到達すべきとされている目標の2.0%にはまだ程遠い。
2. アメリカ

アメリカにおける研究は主として連邦政府所属の国立研究機関,産業界,大学,受託研究専門機関等で行なわれており,受託研究専門機関のような独立の機関のあることが,この国の特色である。資金源と実施機関別にみた研究費は 表II-1-5 のとおりであり,研究開発費の資金源としては連邦政府が最大で65%を占めるが,連邦政府の研究開発の主な目標は国防研究と原子力開発であり,1957年のソ連の人工衛星の打上げ以後は,とくにミサイルおよび宇宙関係の研究の比重が大きくなつている。

図II-1-19 主要国の科学技術研究費

また,1960年に全米科学財団から出された科学者の養成と基礎研究の振興に関する長期展望の報告書の中では,基礎研究の重視が強調されるとともに基礎研究の振興に対する連邦政府の責任の増大をとりあげ,この種の研究の主要な場である大学に対して強力な援助を行なう必要性を強く指摘している。

図II-1-20 主要国の科学技術研究費の国民所得に対する比率

表II-1-5 アメリカにおける資金源別実施機関別の研究開発費の流れ

一方,研究開発を実施する機関としては,産業界が最大であり,研究開発費総額の76%を使用している。産業界のうち,政府からの委託研究費が多いのは航空機工業,電気機械工業等であつて,国防に関係の多い産業が多く,逆に化学工業においては研究費の大部分は産業界の自己支出によつている。
3. イギリス

イギリスにおける研究は主として,政府研究機関,国営企業,民間産業,研究組合,大学,その他で行なわれており,科学技術研究庁(D.S.l.R)の積極的な助成の下に活動している業種別の研究組合はこの国の特色である。これらの資金源別,実施機関別の研究費は 表II-1-6 のとおりである。

研究開発費の資金源としてはアメリカ同様政府が最大で67%を占めているが,この比率は3年前の75%にくらべてやや減少している。しかしこれは軍事部門の研究費の比率が59%から49%に大巾に減少したためで,非軍事の部門では16%から18%と逆に上昇している。とくに科学技術研究会議の実行機関である科学技術研究庁は1959年度から第2次5ヵ年計画に入つており,同庁の支出総額は1964年度までに70%増額される予定で,基礎研究の充実をはかつている。なお,核科学国立研究所(National institute for Researchin Nuclear Science)の設立にみられるように,研究施設設備の大型化に伴い,大学その他に属する研究者のための国立共同利用研究所をその他の分野にも設けることが検討されており,わが国の共同利用研究所が大学に所属しているのと比較して注目すべき対照を示している。

一方,研究開発の実施の面ではアメリカと同様に産業界が最大で56%を占めている。さらにここでは,前述のように研究組合が1.3%にあたる640万ポンドの研究活動を行なつていることがイギリスの特徴であり,現在研究組合の数は約50を数えている。

表II-1-6 イギリスにおける資金源別,実施機関別の研究開発費


4. ソ連

ソ連の科学技術研究費は 図II-1-21 に示すように,1950年から1960年の間に4倍近くの増加を示し,この増加速度はここ数年の間に急上昇している。これらの研究費は連邦予算,共和国予算および地方予算から供給されていて,連邦予算からはソ連における科学技術研究の中心機関である連邦科学アカデミーおよびこれに所属する240ほどの研究所ならびに全連邦的な意義をもつその他の科学研究機関に対して研究費が供給され,共和国予算からは共和国各省および国民経済会議(ソブナルホーズ)所属の研究機関に研究費が供給される。また,地方予算からは地方的な意義をもつ科学研究機関が資金の供給を受けている。

図II-1-21 ソ連における研究開発費

現在,ソ連における科学研究の主要課題は,大きな国民経済的意義をもつ理論的研究の一層の強化,生産技術と科学の結合の緊密化,科学研究活動の成果の国民経済への急速な導入であり,この課題を解決するために1961年4月に,連邦に閣僚会議に直属する研究開発調整国家委員会が新設され,必要な研究の重複を解消して研究体制を強化する活動が始められた。

この結果ソ連科学アカデミーの基礎科学研究部門の強化が行なわれ,生産技術的研究の相当部分が他の研究機関に移行されつつある。
5. 西ドイツ

西ドイツにおける研究費の動きは 表II-1-7 のとおり,かなり急速に伸びてきており,原子力や航空等の研究規模が大きくなるにつれて連邦政府の支出する研究費の割合が増大してきている。

表II-1-7 西ドイツにおける研究開発費

西ドイツでは,公共的性格をもつた研究関係機関の主なものはドイツ研究協会,ドイツ学術後援財団,マツクス・プランク研究協会等があり,これらは,それぞれの立場からドイツ科学技術振興に大きな役割を果している。


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