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  総論
第I部  わが国における科学技術の一般動向
第4章  技術貿易の活発化
I  技術導入



1. 概況

「外資に関する法律」と「外国為替及び外国貿易管理法」がそれぞれ昭和25年,24年に制定されてから,昭和36年までに認可された甲種技術援助契約(技術導入)および乙種技術導入( 注参照 )の推移は, 図I-4-1 に示す通りであつて,甲種技術援助契約は36年度末までに合計1,670件,乙種は1,845件に達し,支払われた対価は1,675億円(認可ベース)に及んでいる。これまでの過程において,昭和27年度まで急速に技術導入が行なわれたが,これは経済復興と,いちじるしい技術のおくれを回復すたるめであつたと考えられる。その後昭和30年度まで,一時的に漸減の傾向を示しているが,これは一つにはデフレの影響と,他方にはかなりの技術を導入したので,導入すべき技術が回復期ほどには多くなかつたことによるものと考えられる。昭和31年度以降は認可件数が多くなつてはいるが,これはその後の技術進歩と,わが国の経済規模の拡大のためと思われる。ただし昭和33年度まで2ヵ年つづいてやや減少しているのは,国際収支の点から意識的に認可の抑制が行なわれたためであろう。そして昭和34年度以降は貿易自由化の国際的な趨勢と,それに対処するための国際競争力の強化のために急速に増加してきている。

対価の支払額は,昭和25年度以降急速に伸びており,それは,わが国の製造業の成長率をはるかに上廻るものである。とくに甲種の対価支払がかなりの額に達し,指数函数的に増加しているのは,それだけ導入技術による生産額の増大がいちじるしいことを示すものである。この点から,導入技術が,わが国経済の発展に果している役割はかなり大きいものと考えてよい。


(注)甲種技術援助契約(技術導入)とは,「外資に関する法律」に基づくもので,契約の期間または対価の支払の期間が1年を越えるもので,しかも外貨支払のもの。

乙種技術導入は,外国為替及び外国貿易管理法の規制を受け,契約期間が1年以内のもの,あるいは1年以上であつても円貨支払のもの。

図I-4-1 外国技術導入の認可件数および対価支払額

図I-4-2 各国の技術貿易の実績

業種別に見た導入件数の一覧は 表I-4-1 に示すとおりであつて,機械工業,化学工業,金属,繊維が多い。そして機械工業のなかの通信機械,一般機械,化学工業のなかの有無機工業薬品が圧倒的に多い。

また,導入先の国別実績は, 表I-4-2 に示すとおりであつてアメリカが圧倒的に多く,ついでスイス,西ドイツが多く,その他フランス,イギリス,イタリア,カナダ,オランダ,スデン等の先進国がおもなものである。戦前はアメリカの占める比率が40%であつたが,戦後は60%と非常に大きな依存率になつている。これエーは日本のみでなく,欧州諸国も戦後大きくその技術をアメリカに依存し,そのロイアルテイ支払も,アメリカだけが受取超過で,,他の諸国は支払超過であることをみると,技術の世界においてアメリカが優位な地位を戦後保つてきたための結果であると言える( 図I-4-2参照 )。技術がアメリカに依存する規模の大きさは,日本は西ドイツと大略同じ位である。( 表I-4-3参照 )。

わが国の技術導入が,件数でみた場合,機械工業,化学工業,金属工業,石油,繊維工業を中心に行なわれたことは,すでに 表I-4-1 により示したところであるが,いま,それらの技術の利用度がどの程度の規模であるかをロイアルテイ支払額によつて検討してみると, 図I一4-3 に示されるようになつている。ロイアルテイ支払額の98%位が製造業であつて,その中でもとくに大きな比重を占めるものは,電気機械,機械,輸送機械を含めた機械工業,ついで合成繊維を含んだ化学工業,それに鉄鋼,石油,繊維が続いており,これらで製造業のなかで95%程の比率を示している。機械工業,化学工業の比重が全体の70%以上となっつているのは,この部門が技術進歩のテンポの中心であるのと同時に,わが国の経済発展が重化学工業化率を高める方向においてなされるなかで,また導入技術が大きな役割を果たしていることを物語つている。

表I-4-1 種類別年度別技術導入認可件数

表I-4-2 相手国籍別年度別技術導入認可件数

表I-4-3 アメリカを中心とした,世界各国の技術料の支払,受取(1)米会社の外国会社および在外子会社からの収入

(2)米会社の外国会社への支払(国別)

図I-4-3ロイアルテイ支払額の業務別分布

わが国の技術が,その導入件数と,ロイアルテイ支払額の推移からみて,外国に依存する度合が強過ぎるのではないかということも懸念されるが,これについては 図I-4-2 に示されるように1957年度(昭和32年度)のアメリカ,西ドイツ,フランス,日本の技術導入と技術輸出による対価の支払,受取でみるかぎり,アメリカは別として,日本はまだ西ドイツ,フランスの規模からみれば小さい。むしろ今後の技術革新に対処し経済の発展を期するためには,すぐれた外国技術を利用することは不可欠であり,またそのようになることは国際的にみて当分の間はやむをえない趨勢ではないかと考えられる。ただ問題とすべき点は,日本は西ドイツ,フランスに比べて,技術輸出による対価の受取が,現状では問題にならぬ程少ないことである。参考に西ドイツにおける技術導入,技術輸出による対価の支払,受取額の推移をみると,技術導入による支払額はやはり1953年度以降,年ごとに増加している。( 図I-4-4参照 )
2. 導入技術の果した効果

導入された外国技術が,どのような役割を果したかについて,まず,生産額,輸出額を中心に検討し,つぎに,機械設備投資に及ぼした影響をみてみよう。
(1) 導入技術による生産額および輸出額

図I-4-5 は,昭和25年度以降の導入技術による生産額(ロイアルテイ支払の対象となるもの)と,そのうちの輸出額の推移を示している。生産は毎年いちじるしい増大を示し,昭和35年度には1兆5,080億円(全製造業の10.8%)に達し,導入技術の大きな影響を知ることができる。輸出額は生産額に比べてその金額もかなり少なく,その増加率もそれ程いちじるしくはない。したがつて全体としてみれば,技術導入はわが国の技術進歩の達成と,その経済成長に伴う国内需要を満たすことにより多くの役割を果たしたともいえる。輸出額はそれ程でないにしろ,技術料支払額を遥かに上廻つているし,もし導入技術が無かつたならば行なわれたであろうと思われる輸入を考慮すれば,わが国の国際収支にはかなり好結果をもたらしたと考えてよい。

図I-4-4 西ドイツにおける技術導入,技術輸出の動向

図I-4-5 導入技術による生産額および輸出額

さらに,これらの状況を主要産業別に,昭和30年度と35年度とについて比較しながらみてみよう。
(a) 機械工業部門
(i) 電気機械部門

表I-4-4 によつて示されるように,電気機械部門では,テレビ,ラジオおよび電子管半導体の部門における導入技術による生産額がとくに大きく,その成長もいちじるしい。これらの導入技術による生産額の全生産額に対する比率がかなり大きいのをみれば,導入技術の影響が如何に大きいかがわかる。このうちラジオ受信機の輸出はその金額も大きく,生産の伸びと大体似ていることから,技術導入が技術水準の向上だけにとどまらずに,輸出の増大という非常に好い結果をもたらした例の一つとしてあげられよう。テレビは全く外国技術に依存しているとはいえ,国内生産の増加により,輸入額は激減し(昭和28年度には9億8,000万円,33年度は1,500万円),昭和33年より逆に輸出をはじめている。その額はまだ小さいが,将来は大巾な増加も見込まれており,これまでは輸入防止に大きな役割を果したものと言える。半導体,電子管部門も導入技術による生産額の比率は大きく,約68%で,外国技術の依存度が高いが,その輸出額もかなり増加してきており,国内需要の急激な増加に対応してそれを充たし,輸入を防止し,電子工業の水準を高めた役割ははなはだ大きいものと考えられよう。その他の一般電気機械は,発電機と無線通信機器が輸出にも好影響をおよぼしているが,残りはむしろ国内需要に対応して国産化の成果をあげたのが,その大きな効果といえよう。
(ii) 輸送用機械

表I-4-5 によつて示されるように,輸送用機械部門では,航空機における導入技術による生産の比重が大きい。航空機は相当に外国技術に依存し,技術料支払も,その生産規模に対して大きい。これは特殊分野であるのでやむをえない。自動車は乗用車および部品であつて,国内総生産に対する比率は余り大きくなく,しかも,その比率は低下してきている。船舶,鉄道車両はわが国でも輸出産業のなかで重要な地位を占めているが,わずかではあるがこの分野にも導入技術の影響がある。

表I-4-4 電気機械部門における導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額

表I-4-5 輸送用機械部門における導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額


(iii) その他の機械部門

機械部門における導入技術による生産額,輸出額,技術料の支払額は, 表I-4-6 に示すとおりである。このなかでとくに原動機部門の比重が大きく,特にボイラー部門はその外国技術に依存する度合が強い。ついで一般機械,鉱山,土木機械,金属加工機(プレス,圧延機等),である。輸出においても導入による効果の比較的大きかつたのは繊維機械,内燃機関で,金属加工機,金属工作機械,ボイラ,鉱山,土木機械,一般機械については,国産化による国内需要の充足および輸入機械の防止という意味での効果はあつたが,輸出にはほとんど寄与していない。しかしこれらの部門は産業への資本財供給が大部分であるので,産業の合理化という面では大きな効果を果したと考えられる。
(b) 鉄鋼部門

図I-4-6 にみるように,鉄鋼部門における導入技術による生産額,輸出額とも,昭和35年度は30年度よりいちじるしく伸展し,その影響のいちじるしいものがある。しかも技術料の支払額はきわめて少ない。これは鉄鋼におけるある部門の技術導入が行なわれると,ロイアルテイが最終製品の生産額に対して決められるので,料率が低くなつて現われた結果であろう。しかし他方,製鉄機械は,わが国の機械工業のなかで最も外国技術に依存する部門であるので,その設備をも考慮すると,製鉄部門の外国技術依存は質的にはかなり大きいものと考えられる。この部門は乙種により図面を購入して設備することもとくに多い。

表I-4-6 機械部門における導入技術による生産額及び技術料支払額


(c) 化学部門

図I-4-7 は化学部門全体(合成繊維,化繊を含む)の導入技術による効果を示している。昭和30年度から35年度までに,導入技術による生産,輸出ともに約5倍に増大しており,導入技術の大きな効果を知ることができる。化学部門の中でとくに外国技術の影響しているのは,アンモニア,尿素の化学肥料,無機化学,石油化学(鎖状化合物,環状化合物が主),合成樹脂可塑物,合成繊維(ナイロン,アクリル繊維,ポリエステル繊維)の部門で,それらの各部門の導入技術の影響の状態が 図I-4-7 の(1)〜(5)に示されている。

このなかで,化学肥料と無機部門は,導入技術による生産,輸出が順調に伸長しているが,石油化学と合成樹脂可塑物の部門は,その技術導入の行なわれたのは数年前のことであり,昭和32,33年度には,その生産額もまだみるべきものがなかつたが,その後急激に発展して昭和35年度にはともに400億円近くまで生産され,導入技術が革新的な技術の確立に偉大な力を発揮したことを示している。この部門では輸出はまだ見るべき程でなく,従来の輸入品が大部分国産化されるということにより,大きな効果があつたものと言えよう。

合繊部門( 表I-4-7参照 )も導入技術による生産,輸出ともに順調であつて,そのうちでもナイロンは昭和30年度より飛躍的に増加し,昭和35年度には化学部門のうちで,その生産は約40%の比率を占め,輸出は70%に近づいている。ナイロンの技術導入は,その効果が最もよく発揮されたものの一つである。アクリル繊維,ポリエステル繊維は昭和32〜33年頃より導入されたもので,ここ数年の間に生産,輸出ともにいちじるしい伸長を示し,とくにポリエステル繊維についてはその導入技術の効果は大きく,ナイロンと同列に評価して差支えないものと思われる。

図I-4-6 製鋼部門の導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額

表I-4-7 合成繊維部門の導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額


(d) 石油精製部門

石油精製部門は,導入技術により発展した代表的なものの一つである。この部門はその技術の導入により連続化,自動化したプラントを同時に導入し,わが国の技術革新的なプラントの確立と発展に影響する所が大であつた。 図I-4-8 に示されるように昭和30年度から35年度までの間をみても,導入技術による生産額が約35倍程に増大し,わが国の基幹産業として重要なエネルギー部門において如何に導入技術が大きな効果を発揮しているかがわかる。ただし,その製品の輸出についてはほとんど取るに足りないのは,導入が昭和27年度頃より行なわれていたのを考えると,石油精製が消費地を中心に行なわれている特殊事情によるものであろう。
(e) 繊維部門

繊維部門は,わが国の輸出産業のなかでも最も有力なものの一つであり,その技術もかなり進んでいると考えられている。しかし染色,製錬,樹脂加工,防皺加工および一般の繊維製品では,外国技術が導入され活用されている。その効果は 図I-4-9 にみるように,導入技術による生産,輸出ともに順調である

図I-4-7 化学部門の導入技術による生産額輸出額および技術料支払額


(2) 導入技術がもたらした機械設備投資の動向

技術導入は,その技術による生産および輸出の面でも大きな影響をもつたが,また一方新しい技術が導入されることによつてひき起こされる機械設備投資の面も,わが国の経済成長に大きなつながりをもつているので無視することはできない。

昭和25年度より,35年度にいたるまで,技術を導入することによつて機械設備投資がどのようにひき起こされたかを調べると, 図I-4-10 に示すようになつている。昭和29年度,30年度の例外を除けば技術導入の結果行なわれた機械設備投資は年々いちじるしく増大してきており,特に昭和31年度より急速に増大し,その規模も昭和34年度以降は1,000億円を超えるに至つている。この投資規模からみて,技術導入が投資の側面においても,わが国の経済発展に大きな役割を果していると考えられる。しかも,その機械設備投資のうち,輸入機械に依存するものはその金額もまた比率もかなり少なく,大部分が国内で調達できるということは,わが国の技術がかなり強固になつたものと考えてよいであろう。もちろん,投資対象となつた機械が国内で調達できたことについては,機械部門における導入技術のはたしている効果を忘れてはならない。

図I-4-8 石油精製部門の導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額

図I-4-9 繊維部門の導入技術による生産額,輸出額および技術料支払額

同I-4-10 技術導入の結果行なわれた機械設備投資額


3. 企業規模と技術導入

外国から導入される技術は,その水準も高く革新的な技術も多い。企業は自己の力で研究開発を行なうとともに,技術導入により新技術を採用する。技術導入は企業にとつては,技術進歩のための有力な手段であり,企業の経営を左右する程の重大な投資である。技術導入が主としてどのような規模の企業で行なわれているかということは,わが国の技術革新が,技術導入という形でどのように進展しているかということの解明になり,技術革新の進展が,大企業と中小企業との間に大きなギヤツプを作りつつあるかどうかということの問題の提起にもなろう。他方独力で行なう研究開発の状況と総合して,企業規模における技術進歩の度合いの差異を知ることは,わが国の経済の発展過程における問題点の把握ともなろう。

表I-4-8 は,主な業種ごとに技術導入が採用された件数を,企業の資本金による規模別に分けて分類したものである。これでみると,各業種とも1社当りの外国技術の導入は,企業規模が大きくなる程多く,とくに甲種の技術導入では50億円以上の資本の会社が,導入の件数が多くなつている。5億円未満の資本の企業では,1社当りの件数も少なくなつている。すなわち,技術導入に関しては大企業程その導入件数も多く,それだけ急速に技術進歩がとり入れられているとみてよい。この点からみれば技術導入による技術の較差は,大企業と中小企業ではますます大きくなつていく傾向がみられる。
4. 貿易の自由化をひかえた最近の技術導入

最近,貿易の自由化の風潮とともに,技術導入の認可についての基準が緩和されてきた。すなわち昭和36年5月に認可方針が次のように変更されたが,これは産業の重要度を要件としない点でかなりの緩和である。

1.国産技術の発達を阻害しないこと。
2.中小企業を圧迫しないこと。
3.産業秩序を乱さないこと。
4.受け入れ企業が適格であること。

以上の条件に合うものは殆んど認可されることとなつた。そしてこれらの認可方針の緩和が契機となり,企業が国際競争力を強化するために,導入のための申請がその後さらに増加している。とくに機械部門,電気部門,化学部門においてはいちじるしい増加を示している。ある部門では同一技術の導入に数社が競合して,不利な契約条件になつたり,また,過当競争を生じてきている例さえある。

貿易の自由化が進められるとなると,技術導入に際していろいろな問題が発生してきている。すなわち,将来わが国の市場が自由化されるので,技術輸出をしないで製品を売り込もうとしたり,日本に技術輸出するにしても合弁会社や子会社を設立しようとする気運が強くなつている。また,技術導入に際して相手方の保有する市場について輸出の制限が行なわれる例が多いが,このような市場制限があつては,いかに貿易自由化が国際的に進展しても,これらの地域に進出することは導入技術による製品に関する限り困難であつて,今後わが国が自由化された市場に進出するためには,やはり導入技術を超えた優れた技術が開発されなくてはならない。このために研究開発が今後さらに重要な地位にたつてくるであろう。

表I-4-8 外国技術導入(業種別,種類別,資本金別)件数一覧表


5. 研究開発費と技術導入支払額

導入技術の果した役割と効果はさきにみたとおり大きいのであるが,これは一つにはわが国がよく導入技術を消化し得たためである。いかに優れた技術を導入しても,それを消化し,さらに発展させる力がなくては何の役にも立たない。また,自己の研究開発の重要性については前節でふれたところである。ここで研究開発費が技術導入支払額とどのような関係になつているかを検討することは,今後のわが国の技術発達を予想するのに重要なことである。

表I-4-9 は,日本開発銀行が359社について調査した結果である。

これでみると,国内の研究開発費は,技術導入支払額よりはるかに多く,技術導入支払額の99%を占める製造業においても,昭和35年度の技術導入支払額は研究開発費の40%である。昭和33年度が49%,34年度が41%であるので,技術導入支払額のいちじるしい増大と同様,研究開発が活発となり,さらにそれを上回る増加率であると考えられる。これから考え合わせて,近年におけるわが国の技術進歩は導入技術と研究開発により驚くべき速度で進んできているといえる。業種別にみれば,石油精製業では技術導入支払額が研究開発費より大きく,機械工業のうち,一般機械,造船および化学工業では研究開発費の67〜93%相当額が技術導入支払額となつている。自動車工業が8%であるのは特異な存在である。電気機械,化学繊維(合繊を含む)が,技術革新産業でありながら,33,40%とかなり低いのは,第II部「研究活動」の章でみるように,この部門の研究開発がわが国においても非常に盛んであるためである。

表I-4-9 業種別の研究開発費および技術導入支払額

優れた技術を導入するためには,受入側のほうにもそれと交換することのできる優れた技術のあつたほうが有利な条件でライセンスが行なわれる。外国の会社と技術提携したある合繊メーカーでは,研究開発を熱心に行なつてかなりの成果を収め,そのために提携相手会社とその研究成果と交換に,相互に無償で技術情報を交換したという例がある。このようにある分野で,すぐれた研究開発の成果をもつことは,相互にほしい技術を対等の立場で交換するための必要条件でもあるので,単に技術導入とその消化でもつて事足れりとするのでなく,独自の研究成果を収めて対等なクロス・ライセンスを行なうことができるようにすることが,今後ますます大きな課題となつている。


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