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  総論
第I部  わが国における科学技術の一般動向
第2章  総合化傾向の発展

最近における科学技術のめざましい進歩発展に伴つて,科学技術の分野は,ますます専門化し,細分化するとともに,総合化ともいうべき発展をとげつつあることも新しい注目すべき動向である。

すなわち,豊富になつた科学の知識や,進歩した技術的手段を総合的に利用することによつて,科学の分野においては新しい重要な領域が開拓され,技術の分野においても従来に比して大規模な課題を解決する具体的手法が確立されつつある。

たとえば純粋科学の面では,生物物理,生化学,放射化学,電波天文学などの例にみられるように,異なる分野の手法を総合した新しい領域の発展がめざましい。技術の面でも,農業の機械化,医療技術の電子化(ME)など従来全く異なる分野であつた農学と機械工学,医学と電子工学が総合化されて発展しつつある。

とくに技術の分野においては,人間衛星船,原子炉,ジエツト航空機,高速鉄道車両などの設計,製作に見られるように,きわめて多種多様の科学と技術の総合化が必要であり,驚くほど各方面の専門家の協力が必要となつてきている。

石油化学工場や製鉄プラントなどの大規模な近代工場を設計建設するにあたつては,各分野の技術を合理的かつ有効に組織し,総合化して,その生産目的のために最も経済的なプラントを能率よく実現することが必要であり,このため,「プロジエクト・エンジニアリング」という新しい技術分野が確立され,その重要性が認識されて,これを専門業務とする会社がわが国にも最近現われている。

さらに,企業の巨大化に伴つて,その運営を能率的に総合的に行なうための管理技術の発展が要請され,電子計算機の活用とあいまつて,オペレーシヨンズ・リサーチ,システム・エンジニアリングなどの科学的管理手法が導入,普及され,新しい管理技術が確立されはじめたことも顕著な動向である。

現在わが国において科学技術の重要総合課題として,自然災害,産業公害の防止,環境衛生の向上などの施策の基盤となる防災科学技術,環境科学技術の確立がとりあげられているが,これらの科学技術はそれに関連する数多くの分野における科学研究や技術研究の成果の総合された一つの体系である。従つてこれらを構成するすべての分野の科学技術の研究が相互に密接な連絡を保ちつつ均衡のとれた発達をしなければ防災科学技術とか環境科学技術というものは確立しえないのである。しかもこのような科学技術の研究開発はその成果に基づいて行なわれる行政施策と極めて密接な関係があり,研究行政と一般行政との完全な結合が図られることも必要である。


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