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第3部   部門別に見た技術の動向
第12章  医療衛生部門
2  国民保健の現状
(1)  死亡率と罹病

最近の世界総人口の急激な増加の最大原因は,第2次大戦後における死亡率の全世界的な改善にあるといわれている。

わが国の死亡率の低下は,まず乳児および若年令層に最も顕著にあらわれ,昭和29年においては同22年に比して約70% * の改善がみられている。年令が長ずるにつれてその死亡率改善の状況は不良となっていくが,60才以上にあってもなお30%をこえる改善が示されている。 (表3.25参照)


* 昭和22年の死亡率を100とした指数による。

この死亡率改善の原因は,

1) 従来国民死亡の大部分を占めていた結核による死亡の漸減(昭和15年15万人-31年4万人)
2) 肺炎,気管支炎等の呼吸器系疾患ならびに病原微生物による腸管系伝染病による死亡の激減(後者,昭和21年25万人-31年12万人)
3) 乳児死亡の減少(昭和22年20万人-30年7万人)がその主なものであろう。

しかし国民病といわれる結核にあっては,その死亡率の漸減にもかかわらずいぜんとして患者数の減少がみられないことは注目すべきことである。昭和29年3月の厚生省実態調査によれば,全患者数は292万人,この他要休養要注意者は261万人であるという。

わが国死亡率の推移をみるに,現在死因の第1位より第4位までを頭蓋内血管損傷(卒中等),悪性新生物(癌等),老衰および心臓病が占め,結核は第5位となっている。すなわち,近時世界医学界の努力目標となっている成人病(卒中,癌,心臓病の総称)は,わが国においてもその死亡者数が昭和10年の約20万に対して30年には25万に達し,漸増の傾向を示している。 (図3.45参照)

表3.25 死亡率

つぎに罹病状況は,国民1,000人のうち25人の割合で病人が見出されるのがわが国の現状である。なお,低所得者層では1,000人対35人,とくにその中の被保護者世帯では1,000人対125.5人が病人であるという高率を示している。この貧困と罹病の関係は,今後における死亡率改善上の重要課題であろう。

出生については,終戦直後数年間は出生数ほぼ270万を数えたが,昭和25年を峠として急速に減少をつづけ,31年には約166万となり,世界的にみても比較的低水準に位している。


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