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第3部   部門別に見た技術の動向
第11章  通信
2  通信サービスの向上
(2)  伝送技術の進歩

クロスバー交換方式の採用に先だって市外回線の近代化が進みつつある。テレビ中継網を完成し,より経済にまた大量の市外回線を拡充してゆくため,広帯域伝送と多重化の技術が要求され,まず戦前わが国が先鞭をつけた長距離無装荷ケーブル搬送では6通話路から24通話路へ,さらに60通話路へと発達した。諸外国では西独の技術が最も進歩し,すでに60〜120通話路方式が実施されている。しかしながら,この分野におけるマイクロ波(極超短波)方式と同軸ケーブル多重電話方式の採用は,将来のわが国の無線および有線による市外通信網の根幹をなす最も近代的な伝送技術として高く評価されている。米国のATT社の4,000MC方式に範をとり,昭和29年に東京―大阪間に開設さた方式は,最近における計画的な開発研究成果の1例とされtいる。さらに電々公社は大阪―福岡間に,英国STC社の4,000MC,240通話路方式をを輸入し,検討を加えたが,昭和31年に東京-仙台-札幌間に開設された4,000MC,480通話路方式では,進行波管1本で増巾と発振を共用した点,AFC(自動周波数制御)を必要としない点など,経済性と安定性の面で幾多の独自の技術を開発し,わが国のマイクロ波中継の標準方式(FS-B2)を完成した。

この方式による工事の進捗につれて,全国にテレビ中継と市外電話回線を構成するマイクロ波網が拡大されつつあり,すでに延長では米国についで第2位を占め,その他の諸国にくらべわが国の技術は高く評価されるまでにいたっている。公衆通信におけるマイクロ波技術の進歩とともに,放送,電力,鉄道などの専用通信系にもさかんに採用され,すでに周波数の不足傾向をしめしている。

同軸ケーブルによる長距離多重電話方式は主として米国で発達し,すでにL3と呼ばれる600通話路を基準にした最高1,860通話路の多重化が実施され,テレビプログラム中継伝送にも用いられている。わが国の同軸ケーブル方式も戦前から研究が進められある程度の成果をおさめていたが,戦後一時中止され,最近国産化された新しい同軸ケーブルを使用し,国際規格に準拠した960通話路方式として完成され,すでに東京―横浜,東京―高埼,大阪―神戸に実施中であり,昭和33年度以降,漸次全国通信幹線が形成される計画にある。この分野の諸外国の現況は英国,西独が実施中であるほか,フランス,イタリーなどの欧州各国,アルゼンチン,インドなどが同じ6O通話路方式の計画または実用化中であり,ソ連では100〜200通話路方式が用いられている。さらに将来の超多重化の方向に対しては,英国,フランス,西独,わが国では通研がそれぞれ2,700通話路方式を開発研究中である。

50粁おきに設置されたマイクロ波中継所とパラボラ空中線

960通話路を伝送する同軸ケーブル

これらマイクロ波や同軸ケーブル方式の電詰の多重化装置には,最近の真空管,半導体,磁性材料,誘電材料,合成樹脂など部品,材料の進歩による小型化技術が駆使され,さらに国際的に標準規格化され, (5.参照) 多重化にともなう施設の大巾な増加に対し,その収容能力をいちじるしく増加した。さらに途中の中継方式では遠方監視制御方式が採用され,従来有人局であった中継所の無駐在化が実施されるようになった。このような経済化と安定化をねらった自動制御技術は通信自体にも大きな比重をしめるにいたり,放送業務でも採用され,すでにNHKでは,小,中電力の放送局の送信機の自動操作,コールサイン自動送出などサービス向上と技術者の有効配置に寄与している。


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