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第3部   部門別に見た技術の動向
第9章  繊維工業
2  わが国の繊維工業技術をめぐる諸条件

まず,生糸を除いたほとんどの繊維原料を海外に依存していることがあげられる。そのうえ,戦後の海外における合成繊維の発達による生糸の輸出の激減,後進綿業国の擡頭等の事情もあって,わが国の繊維工業は製品の高級化,原料の自給化をはからなければならない立場におかれている。第2に,加工段階における中小企業の問題がある。中小企業の占める比率の高いことは,この工業の特色であり,進歩した機械技術をもっているのは,一部の大企業に限られているので,低水準に停滞しているこれらの中小企業を先進企業の水準まで引き上げることが重要な課題となっている。

第3に関連産業技術の跛行性があげられる。たとえば,染色加工部門は,戦後の海外における革命的といえる進歩に比し,わが国のそれはいちじるしく低位にあるが,この原因は,繊維工業自体に一部あると同時に,染料の品質と価格,染料と助剤のアンバランス,機械におけるステンレス鋼の使用技術,計側,自動制御装置などの面における後進性にも存在している。

最後にデザインの問題をあげる。流行に直結し,新しい味の製品をつくり出すデザイン技術については,輸出に関連して戦後しばしば問題となってきているが,わが国のデザイン技術そのものは貧困とは考えられず,むしろ,独創的デザインを重視し,デザイナに自由な活躍の場を与えることが先決問題であると考えられる。


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