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第3部   部門別に見た技術の動向
第8章  化学工業
  窯業
1  セメント

わが国で生産されるセメント(昭和31年実績1,297万トン)の95%はポルトランドセメントであり,残りの5%を高炉セメント,シリカセメント,ポゾランセメント,雑用セメントが占めている。セメント業界における最近の顕著な傾向は輸出の増大であり,31年の輸出実績は,212万トンで,輸出高で世界最高という記録的現象を示した。しかし,これは国産セメントの基本的な国際競争力が強化されたことを意味するものではなく,東南アジヤに対する米国の援助資金の撒布その他の特殊事情が解消すれば,国産セメントの輸出は楽観できなくなるものと考えられ,原料条件,原単位,労働生産性の劣性による国際的にみたコスト高を是正しなければならない立場におかれている。

このコスト高を招来しているおもな原因としては燃料費の割高があげられ,これは石炭価格の上昇と,クリンカー単位当りの熱消費量の大きいことに起因している。後者の原因是正のために,エアクエンチングクーラ,全溶接キルン,ロングエコノミカルキルン等の,生産設備の近代化が,現在広汎に進んでいる。

ロングエコノミカルセメント焼成キルン

わが国のセメント工業技術が世界的な水準的にあり,前述のコスト高が技術面の低位に起因するものでないことは一般に認められているところであり,ほかの窯業部門にくらべても工程,装置に関してはかなり進歩している。

最近の技術的な動向としては,ポルトランドセメントでは,クリンカーの鉱物粗成,水和反応,石膏の作用と偽凝結等主として基礎的な面に研究努力が傾注されている感があるが,一方特殊セメントの研究開発も盛んで,スラグセメント,ポゾラン系セメント,道路用セメント,メーソンリーセメント等の面で新製品の開発がみられるようになった。ただ新製品に関しては,ことさらに使用者側が高品位のポルトランドセメントに執着するという合理的精神の欠如がこれらの新製品の普及を阻んでいるという事実が指摘されている。


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