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第3部   部門別に見た技術の動向
第7章  電子工業
2  電子技術の利用とその進歩の動向

第2次大戦申の電波兵器の開発とそれにともなう関連技術の発達は,トランジスタ,テレビ,マイクロ波利用など通信技術の飛躍的発展の基因となったが,他の電子応用分野もいちじるしく進歩した。すなわち,各種の電子計測器や分析装置は電子計算機とともに科学技術の研究手段のいちじるしい進展に貢けんしており,工業的には高周波加熱装置による木材乾燥や鋼の焼入れ,その他各工業の加熱加工の近代化;超音波による機械加工,攪拌,脱気;工業計測化からさらに自動制御技術にまでおよび,原子炉の制御や放射線計測には欠くことのできないものとなっている。航空機の超音速化や誘導弾の出現は,航空機の頭脳や神経となり,また目となり,耳となる航空電子機器の進展に負うところであり,さらに医学や生物学への応用が最近急速に発達し医療電子技術として脳波描記装置,心電計,筋電計など各種の医療機器が医療技術の発展に貢けんし,次第にその重要性を加えつつある。

マイクロ波通信装置

このような情勢に対して,欧米各国では大戦中の研究成果に加えて,戦後にもなお巨額の研究費が投入されており,さらに新しい材料,新しい技術の開発,育成に営々として努力し,技術の進歩と市場の拡大につれてその工業的地位を確立するにいたっている。

しかもこのような電子技術の進歩の基礎となるものは,物性論をはじめとする科学の研究からくる部品材料の革新と,その革新により既存方式を変更し,さらにそれをより広い分野で応用してゆくための研究であるということができよう。

電子技術が当面する最近の問題,たとえば,太陽エネルギ利用における半導体,ゲルマニウムトランジスタの安定化を中心とする各種装置の電子化,小型化,電子計算機や電子交換機における記憶素子としての磁性体,強誘電体,真空管の高信頼化,シリコントランジスタの開発などは,いずれも問題の核心は材料そのものの研究であり,目的に合致した材質およびそのなかでの電子の作用の制御の研究が要請される。

電子技術の花形トランジスタ

さらに,電子技術の意義をいっそう巾の広いものにした通信理論からサイバネテイクスへの理論的研究分野を無視することはできない。

電子技術が当面する別の面,すなわちマイクロ波の利用からミリ波にいたる新しい電波の開拓研究では,最近分子的あるいは原子的手段による新しい増巾,発振を行うことも研究されているが,未解決な問題をかゝえており,光周波に近づくにつれ,新しい物理学的手法が要請されるであろう。

電子機器の生産という立場では,この技術の進歩が金属材料技術,機械技術など,関連するあらゆる工業技術の均衡のとれた進歩に負うところが大きい。


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