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第3部   部門別に見た技術の動向
第6章  機械工業
1  戦後における世界機械工業のすう勢
(2)  わが国の機械工業

このような主要工業国にみられる傾向に対し,わが国の機械工業もほぼ同じ動向をたどっているということは,前記諸表によって知ることができよう。しかし国際的にみた場合,主要工業国における機械工業の高度化のテンポに,わが国が相当おくれていることもまた否むことはできない。すなわち工業生産からみた全製造業にたいする機械工業のウエイトが,米,英両国では戦前に比べ50%以上高くなっているのに,わが国ではほとんど変化がなく付加価値率も国際的に比較するとはなはだ低い。また 図3.16 および 図3.29 にみられつとおり,機械輸出においてもわが国の地位はきわめて低く,とくに西独の機械工業と比較したとき伸張率において劣勢にあることはめだっている。

図3.29 世界主要国の機械の生産と輸出構成

図3.30 機械輸出における世界主要国の地位の変化

1953年,わが国機械工業生産は世界14ヵ国の機械生産全体の2.6%を占め,機械輸出では1.5%を占めていた。西独は生産で6%を占め,輸出では13.1%という高い率を占め,1956年には20%近くを占めるにいたっている。しかも西独では全輸出の50%以上を機械輸出か担っている。わが国の場合それは19.3%(このうち半分以上が船舶)にすぎない。

さらに, 図3.29 は生産,輸出とも圧倒的ウエイトを占める米国を除いて,わが国以外の世界主要工業国はすべて全世界に対し,機械生産における構成比より輸出にわける構成比が高いことを示している。また 図3.30 でみられるように,現在わが国の輸出機械製品が世界の機械輸出市場で3%程度を占めているにすぎないということは,今後これを倍増したところで6〜7%であり,この程度の伸長ならば世界の機械輸出構成に大きな変動をもたらさないので,そう大きな抵抗や障害もなく伸張可能もあることを意味している。これらのことはわが国機械工業が技術的に一段と高度化することによって,こんご輸出産業として大きく伸るべき前途を示しているものといえよう。

わが国の機械工業を国内的にみると昭和30年において製造工業中に占める地位は次のとおりであって,機械工業は原料,燃料の使用率では全製造業製品に対し,13.9%と少ないのに,従業者数,付加価値では18.5%以上を占め現金給与では25%とさらに高い比率を示していることがわかる。すなわち,他の業種にくらべ,機械工業は雇用吸収率や給与水準が高く,その製品の付加価値率,外貨獲得率が高いということを示しているわけである。したがってこのことは,原材料,エネルギおよび雇用に深刻な問題をかかえ,しかも,輸出に依存することの大きいわが国経済の発展のために,機械工業のいっそう発達こそもっとも望ましいものであり,かつこれを強く推進すべきであることを意味しているものといえよう。しかし現状では,雇用吸収率にしても付加価値率にしても,また輸出競争力にしても,これらを国際的に比較した場合,全般的にわが国機械工業がはなはだしく劣位にあることは前掲の諸指標によって明らかである。その主な原因としては,わが国機械工業の技術の劣勢をあげることができる。

機械工業には,発展の過程において形成せられた生産構造と,それに関連した技術的特徴があるが,わが国機械工業には後に述べるように,構造的に多くの後進性か残っていて,技術進歩に対する大きな阻害条件となっている。この構造的跛行や不均衡をもたらした大きな技術的要因は外国技術導入にある。

すなわち,わが国の各産業および機械工業がその主要な技術を終始外国技術に依存しており,自主的研究による技術をもって,戦後における世界の技術進歩の動向に追しょうすることができなかったことが,世界のすう勢に対し,わが国機械工業が甚しく劣位におかれてきた原因である。

図3.31 昭和30年における,わが国製造工業中に占める機械工業


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