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第3部   部門別に見た技術の動向
第5章  金属工業
2  非鉄金属

非鉄金属地金は一般に原料である鉱石の生産の弾力性が乏しいのに反して,需要の変化がはげしく,さらに単位容量あたりの価格が高く,保管が容易であることから,投機の対象となりやすいということも加わって,価格の変動がきわめてはげしい。また製品コストに占める原料費の割合がきわめて高いので資源条件の有利,不利がコストに決定的な要素となっている。このような事情から技術の発展を刺激されることが乏しく,非鉄金属工業の技術は全体としてみれば大きな進歩は少なく部分的な進歩がなされたにすぎない。

しかしながら,非鉄金属中で重要な位置を占める銅,亜鉛の生産冶金技術では,鉄や新金属の場合に匹敵するような大きな変革がみられる。

銅製錬では従来は溶鉱炉転炉電解精製の方式が主体であったが,戦後,溶鉱炉,転炉などが老朽化し,どうしても設備の更新改修を行わねばならなくなったこと,亜鉛製錬では,めぐまれた国内資源を背景として,亜鉛鉄板の需要増大を主体とする市場の拡大に応じて,生産設備の増設をはからねばならなかったことなどが,新しい技術の登場の原動力となった。

銅冶金技術では,重点は溶鉱炉,転炉の工程に改良の重点がおかれた。重要なものとしては,新しい型式の溶鉱炉を用い,生粉鉱をそのまま使用し,冶金反応熱を完全に利用して,ほとんど燃料を使用せずに溶錬を行う自溶製練法;わが国特有の銅亜鉛複雑硫化鉱を対象として,流動層焙焼と銅,亜鉛の分別電解を組合せて,銅,亜鉛を回収する新しい湿式製練法;溶鉱炉を用いず直接生鉱を転炉に装入し,酸素富化空気で吹錬を行う酸素製銅法などがある。とくに後の2つはわが国独自の力で生みだした技術であることは特筆すべきであろう。いずれも燃料使用量が少く,鉱石中の硫黄分を濃硫酸として,完全に回収しうるという点で従来の方式よりもすぐれており,さらに装置が小型で資本が少くてすむという特質をそなえている。

亜鉛では,従来から電解採取法と蒸溜法が採用されているが,戦備の新設にあたっては,今までの原始的で非連続的な水平蒸溜法にかわって,新しい連続式の竪型蒸溜法が技術導入され,コストの切下げにいちじるしい効果をあげている。

非鉄金属の生産技術は金属工業技術全体からみれば,前にのべたような経済環境からもっとも停滞性の強い部門であるから,今後技術の向上にあたっては製鉄技術,新金属の技術,化学工業の技術など発展のいちじるしい部門の研究成果を活用する着実な努力がもっとも重要であろう。


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