ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   部門別に見た技術の動向
第3章  建設
  土木
2  土木部門の今後の問題


戦後の土木技術の進歩には前述のごとくきわめて顕著なものがあるが,今後の発展のためには,いくつかの解決をはからねばならない問題点がある。
(1) 機械化施工の基準の確立

機械化施工はあらゆる土木工事に滲透し,大なる成果をあげてきているが,まだ現段階は一応欧米の機械化をとり入れた形であるので,今後のより以上の発展と独自の技術の確立をはかる必要がある。そのためには各種の工事条件に応じて,道路,ダム等の工事別の機械化施工の基準を科学的,合理的に確立することが必要であろう。

また,わが国の国情,気候,地質等に適応した独自の施工機械の製作研究,性能向上の研究を促進することも重要であろう。
(2) 管理,技術の推進

土木事業の大半は民間企業によって行われ,土地と結びついた移動的な生産方式がとられているという特殊性もあって,封建的な組織のもとで運営されている場合が多く,工程管理,品質管理,労務管理等の管理技術の立遅れはいちじるしく,土木事業の能率化の大きな障害となっている。

また,広義の経営管理という面から見て,公共事業によって占められている分野が多いことからして,民心の安定,人命の保護などの効果のとり上げ方に問題はあるが,経費と便益とを関係ずける経済的な効果算定の研究を促進する必要があろう。
(3) 研究機関の拡充と普及活動の強化

土木部門の工学的研究は,大学,運輸省,建設省,国鉄,民間企業等の研究所およびそれぞれの現場において,各機関に応じた特徴をもって行われている。土木技術の発達は,理論的研究とこれを現場に応用した結果から理論に対する確信を深め,また現場の問題を抽出して理論的研究を進めるというように相互扶助的関連によって進歩するのである。また統計的な結論を出す必要性からして,数多くの現場の資料がなくてはならない。

さらにわが国は,地域的に非常に変化をもった地質・地震の影響,季節的に多雨多湿な気候など,数多くの土木技術にとって基礎的なしかも複雑な問題を解明する必要性をもっている。

それにもかかわらずほかの産業に比して,現在の研究機関の規模,組織,研究費は全般的にきわめて貧弱である。研究内容には自然に対する問題の解明という点が多いことから考えても,国として卒先して強力に研究体制の整備を行う必要があろう。

一方,研究成果を現場へ応用,普及する面の現状は,たとえば現場における施工の技術のきわめて低位にある状況から判断して,いちじるしく適正を欠き研究と現場との間の連繋の強化がとくに重要視されねばならない。このために現場技術者,技能者の能力の向上をもはかる必要があろう。
(4) 総合性の配慮と合理的長期的見通しの確立

国土総合開発という観点からして,資源の総合的な利用形態を確立し,それに準拠して個々の土木事業を遂行させることの重要性はいうまでもない。このような社会,経済の要請によって,前記河川の項で用水問題と河川安定処理問題との関連の密接性を述べたごとく,用水問題を考慮せずに河川を安定することは不可能な状態となってきている。すなわち土木技術は長期的見通しに立って,しかも時点時点における社会環境に合致したものでなくてはならない。

さらに,長期的見通しを策定するにあたって,従来においても一応10年,20年後の将来の推定を技術的に行ってきた。しかし,たとえば道路輸送にあらわれた交通量の急増などのごとく,はなはだしく予想と異った様相を呈するにいたったことは,技術的な推定方法にも問題があるのではなかろうか。このことは道路についてのみでなく,あらゆる土木部門にもいえることであって,現状にいたるまでの土木事業に対する経済,社会,財政等諸条件の変化との関連を分析把握する研究が,ほとんど行われそいなかったことに起因するものであろう。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ