ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   部門別に見た技術の動向
第2章  鉱業
  金属鉱業
1  探鉱


金属鉱業の探査技術は大正末期にまず磁気探鉱が導入され,その後昭和に入り,電気探鉱,地震探鉱等の物理探鉱技術が相ついで導入されたが,いずれも研究的あるいは調査的段階の域を出なかった。戦時中も採掘作業に追われ,十分な発展はみられなかった。

戦後は戦時中の無計画な採掘によって極度に減少した埋蔵鉱量の不足を回復するため,探鉱に重点がおかれ,作業は活発になるとともに,使用機器の発達により科学的探鉱が広く実施され,従来の坑道を主とした探鉱から地化学探鉱,物理探鉱,試錐探鉱へと質的な発展がみられた。なかでも物理探鉱と試錐探鉱の実施は,新鉱床の発見にいちじるしく貢けんした。

すなわち,昔時の鉱床発見の端緒は主として目に見える露頭鉱床がその手がかりの最たるものであった。しかし露頭鉱床の数には限度があり,新鉱床探査の方向は目に見えない,いわゆる地下に隠れた潜頭鉱床を対象とせざるをえなくなってきた。電気,磁気を利用する物理探鉱は,この潜頭鉱床を探知するために,まず第1に実施されなければならない探鉱方法の1つであり,一般的に行われる予備調査には不可欠なものである。しかし,物理探鉱はただ鉱床の位置を発見する手段に過ぎず,これが規模を確認するためには,どうしても試錐探査の実施を必要とするものである。両者相まって新鉱床の発見が可能となるものであり,これにより埋蔵鉱量は大巾に増加したといっても過言ではない。

試錐探鉱はまた,戦後海外の優秀な試錐機が輸入され,この刺戟を受けて国産機の性能もいちじるしく向上したため,現在では坑道探鉱より有利な方法として広く利用されるようになった。なかでも,ダイモンドビットの植込技術の進歩により,試錐機の回転数が飛躍的に増加したため,単位時間当りの掘進長が増大し,試錐作業全般の所要時間の短縮,経費の節減が可能となった。すなわち,試錐により,低コスト,高能率の探鉱ができるようになった結果,坑内探鉱が一段と合理化された。

現在使用されてい試錐機は,掘進深度100〜300mのものが最も多く,全体の約85%を占めているが,これは最近の試錐技術水準が上記の範囲にまで向上したことを示している。なお,昭和25年以降の年間試錐細進長は表3.11に示したとおり,逐年急激に増加しているが,これは試錐機の能率向上と設備台数の増加によるものである。

将来,深部にある鉱床を開発するため,試錐はますます必要になってくるが深部における試錐を如何に経済的に,しかも有効に行うかが問題である。また深部探鉱を適切に行うためには,比抵抗法による電気探鉱法,地震法等の物理探鉱についても,技術的改善をはかる研究を行うことが望ましく,それと同時に鉱床を胚胎する地質条件の究明をも十分行う必要がある。

以上のようにわが国の探査技術はいちじるしく進歩したが,空中あるいは水中からの探査とか,放射能鉱物のような新しい資源の探査技術等の新技術の開発は,まだ諸外国に比し相当おくれている。

表3.11 試錐掘進長の推移

これは探鉱用機器の発達が遅れていることもその理由の1つであるが,根本的には探鉱の重要性および効果に対する軽視に基因しているものと考えられる。鉱山経営の成否如何は端的にいって,地下資源如何によるものである以上今後とも従来にも増して,積極的に科学的探鉱を実施するとともに,新しい探査技術の開発を促進することが要望されている。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ