ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   部門別に見た技術の動向
第2章  鉱業
  石炭鉱業
4  今後の課題


石炭鉱業は現在エネルギ総合対策の立場から価格をあげないで可及的に増産することを要請されている。この価格をあげないということは世界的な炭価上昇の傾向からみてきわめて困難であるが,それだけに技術の発展による打開がきびしく要求されることになる。

戦後面目を一新するほど炭鉱技術は進歩したが,これらは主として外国技術の導入にまつものが多く,わが国独自の技術発展は今後にまたなければならない。また,機械化が進み,切羽が鉄化されても,切羽から選炭,輸送までが同じレベルの機械化でなければならない。現在の機械化はまだまだバランスのとれたそれというには程遠く,部分的に進歩があっても1過程に遅れがあれば,そこが隘路となって合理化効果はいちじるしく減殺される。各機械,各過程の統一的な合理化が期待されるゆえんである。

最後にわが国においてはまだ夢物語の如く論じられておりながら,諸外国においてはすでに着々と研究を重ね,一部には早くも工業化されたと噂される技術の1,2を紹介する。
(1) 水力採炭

目下さかんにソ連において研究されている新技術であって,採炭出炭工程はきわめて単純であって工程数も少ないという特長をもっている。本法は要約すると,水力によって採鉱されている砂鉱床の場合の方法の原理に基くものである。水力利用の原理は簡単でモニター(ノズル)から噴出する圧力水を炭壁面にあて,その水衝作用によって炭層を破砕し,同じ水で堀砕炭を洗い流し,路床上のトラフの中を自然流下せしめようとするものである。すなわち水流によって,搬送できる程度の大き夢の炭を炭層から引離すとともに,一方ではその採炭様式に対応する方法で磐圧統御を確保する。崩し取られた炭は,モニターに使用された廃水の集水点に落され,パイプラインを流れるパルプ流送管で坑道を搬送され,吸上装置を利用して坑外へ運ばれる。つまり高圧ポンプ→切羽→炭吸上装置→洗炭場→高圧ポンプ,という循環水の閉回路を生じ,効率の点からみると,作業工程の連続化が達成されるから理想的であるとともに,同時に採炭作業の単純化の極致――わずかの操業で出炭できる――である。

ソ連においては1952年以来開発研究が行われ,現在では20数炭鉱が全部または一部を水力採炭におきかえているといわれる。水力採炭による場合の労働生産性は,ふつうの方法で採炭を行っている最高度に機械化された炭鉱にくらべて2〜3倍高いといわれ,坑内夫の1カ月の生産性は130トン前後,全坑夫で1ヵ月精炭80トン位である。またコストも70%程度で,選炭コースを除き露天掘採炭のコストに近いといわれる。
(2) 石炭地下ガス化

石炭の地下ガス化とは,石炭を地下において成層のままで直接ガス化し,発生したガスを管で地表に導き,動力源ならびに各種の工業用原料として使用する方法である。この漸新にして石炭鉱業の革命をもたらす着想は相当に古く,1868年に遡り,その後20世紀早々に具体化し,現在では英国,ソ連,米国,ベルギー,フランス等で試験が行われている。わが国でも戦前,戦後に文献による研究,現場実験計画の検討が行われたが,まだ実施に至っていない。もしもこの方法が工業化されたならば,人間は不愉快かつ不健康な危険の多い地下労働から解放されることはもちろんであるが,さらに石炭を地上に持出す費用をいちじるしく低減させ,したがってこれまで条件が劣悪なため,現行の採炭方式では採算に合わず,空しく放置されていたぼう大な未利用資源が活用できるようになり,人類の福祉に大きく貢けんすることとなるであろう。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ