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第3部   部門別に見た技術の動向
第2章  鉱業
  石炭鉱業
3  炭鉱の新しい関連技術



(1) 坑内ガスの抽出利用

わが国の炭鉱では出炭トン当り平均22m2のメタンガスが排出されるが,これは保安上多大の経費と犠牲を払って稀釈排出に努めてきた。近年にいたりこの炭鉱の敵とみられていたメタンガスを高濃度のまま抽出して新しい資源として活用する方法が普及し,政府においても昭和26年以来積極的に助成策を講じてきた。誘導抽出されたメタンガスは,最初はほとんどボイラの助燃に用いられたが,昭和30年にはカーボンブラックの製造研究が行われ,商品化されつつある。また化学工場と契約して化学工業原料として抽出を行っている炭鉱もあり,炭鉱保安の向上とともに新資源開発という1石2鳥の新技術となった。

現在ガス抜によって誘導されているメタン量は純メタンに換算して290m3/min,そのうち利用されている量は純メタン換算198m3におよんでいる。

吸出ガスのメタン濃度は50〜86%で,平均57.5%である。日本でもつともガスが多く,したがって古いガス抜の歴史を持つ北海道での利用ガス量は純メタン160m3におよび,全国の80%強を占める。そして主として発電用および暖房用ボイラ燃料として使用されているが,上記のファーネス法によるカーボンブラック製造も行われている。九州におけるガス抜は比較的歴史が浅く,その吸出量,利用率ははるかに北海道におよばない。しかしガスを化学工業原料として利用することを最初に実現した点において,重要な意義をもっている。
(2) 石炭の合成化学原料としての利用

石炭の有効需要の拡大実現のために,新しい用途を求めて近年叫ばれるのが石炭化学である。石油が脂肪族炭化水素を主成分とするのに対し,石炭は分子量2,000以上の複合多環式芳香族系炭化水素であるという相異はあるが,各種の炭素または水素を含む化合物を合成する原料となることは石油となんら変りはない。石炭の成分をなるべく完全にかつ有効に利用するために,石炭を化学原料として価値の高い化学製品を製造または合成ずることが重要な研究課題となり,部分的には工業化されつつある。この技術については後の化学工業で述べることにする。

このような石炭化学による製品は種類からいえば,芳香族有機化合物,鎖状有機化合物,炭素製品,無機製品等広範囲にわたっており,工業化が実現すればわれわれの実生活に,また国家経済に寄与するところが少くない。ここに問題となるのは石油化学との競合であるが,石油化学の振興は製品の需要面から強調されているのに対し,石炭化学は需要面のほか,国内エネルギ活用の側からみても,強く育成されなければならない。この2つの化学工業は総合的な計画の下に進められるべきものである。


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