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第3部   部門別に見た技術の動向
第1章  農林水産業
4.  加工・貯蔵・輸送
(2)  加工


総じて,農林水産物の加工,貯蔵,輸送についての技術は,盲点として残されたまゝである。食糧品製造業の9万4千事業所のうち65%が,3人以上の従業員事業所であるという現況からすれば,加工に関する技術の研究は,国家が重点的に実施することが望ましい。比較的企業集中度の高い乳製品工場についてみても,市乳の国際比価は大差がないが,乳製品は割高となっている。その原因の1つは,集乳費の高いこととされているが,現在のような,牛乳罐による集乳,トラック輸送を前提とせず,牛乳輸送専用トラックの製作等の技術改善によって,集乳費の軽減をはかることも考えるべきであろう。あるいは,ホエー等の製品残滓のミネラル利用等,企業内における技術改善によって,価格の引下げも期待される。市乳についても,生産者価格と,消費者価格の格差をちぢめるために,その流通機構の合理化とあわせて,容器の改善,瞬間高温殺菌の研究等によって,消費者価格の引下げをはかるべきであろう。

表3.3 食品工業の従業員規模別事業所数

肉製品についても,生肉小売店が枝肉に包丁を入れて,品位別に撰別して売る形態にある段階では,消費者価格の低下は,流通機構の合理化によるほかはないであろう。しかし,パッキング技術の研究が進み実用化段階に達すれば,屠殺場でパッキングされた食用生肉が直接小売店に流れ,生肉小売価格の低下も可能となる。屠殺残渣たる内臓,血液等も,欧米でみられるように,内臓,軟骨等を加工して,ハム,ソーセージに混入したり,ヘッドチーズを作ったり血液から薬品を製造したりする技術の研究を進めて,実用化することも考えるべきであろう。

また,製造残渣の1つである,フスマ,ヌカについては,育産振興が叫ばれている現在,飼料価格安定法が施行されているとはいえ,これらを,家畜飼養農家へ低価格で供給するための,製粉,精米,精麦工程の技術研究と,製造工程の合理化についても考えられるべきである。

魚貝類に対する最近の消費は鈍化し,その消費形態も,フイシュソーセージに代表されるように,生鮮の形より,加工品として消費される傾向がはっきりしている。しかし,加工原料たる魚貝類の生産は各地に拡がってその確保に困難をきたし,ために,加工企業も零細で,その消費者価格の低下は困難であろうが,廃棄する内臓類の加工技術を発展せしめて,加工費の軽減をはかることも考えられてよいであろう。

以上の各食品加工技術についての研究は,国家において,ほとんど行われず,一部行われていても,民間企業の研究よりおくれている現状であり,今後の研究体制,予算等について十分な検討がなさるべきであろう。

木材は,旧来のソリッドとしての構造材料から,再生木材であるボード類が合板とともにいちじるしく発達して新しい市場を構成しつつあるし,また,家庭用燃料の構造変化を考慮しての薪炭材の,ボード,あるいはパルプへの転換利用に迫られているので,木材加工技術の研究や,いろいろの樹種のパルプ原料としての利用の研究が考えられるべきである。


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