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第2部   科学技術発展の基盤
第8章  科学技術情報活動
2  研究の発表
(1)  一般的問題


研究の発表の経路としてもっとも重要なものは定期刊行物である。わが国の科学技術関係定期刊行物の刊行現状について,まずその現在刊行中のものの総数は,約1,700種と推定される。その内訳は理学約400種,工学800種,農学200種,医学300種となっている。

昭和25年において,諸外国で現在刊行中の科学技術関係定期刊行物の総数が,約2万種 * である事実からみて,わが国の出版量が非常に多量である点が注目される。しかしこのことは,必ずしもわが国の科学技術の水準の高いことを意味していない。


* 英国の1952年(昭和27年)のWorld List of Scientific Periodicalsによる調査で,その内訳は理工学54%,農学23%,医学23%となっている。

つぎにわが国の学術雑誌について多くの議論があるが,それらに共通する点は「学術雑誌の洪水」という主張である。これについて昭和30年,わが国の学術雑誌の調査のために来日したGeorge S.Bonn氏は次の点を強調している。

◆ 不完全な研究や報告を掲載する雑誌の多いこと。
◆ その編集方針において読者層あるいは利用者が誰であるかを,十分に検討していない。
◆ その編集および頒布の方針において,その雑誌の取扱う分野および内容の区切りが判然としない。

この事実は,一方では海外より,「日本の文献は,紙屑同然だ」という批判となり,また国内において,科学技術者の大きな損失となっている。英国の科学技術研究庁 * (DSIR)の推定によれば,将来の論文発表量はここ1世紀間にその量が24倍となるであろうとしている。今後わが国の科学技術の振興とともに,論文発表量は急速に増加するであろうが,その際,その発表経路が組織化されていないならば非常な混乱を招来しかねない。この対策として次の諸点が重要である。

1) 出版事業としては,出版事業間の調整,編集方針の確立,の2点
2) 各専門分野におけるドキュメンテーシンの振興
3) 文献整理に関する中枢的機関の強化

今後,これらの点について十分な施策が講ぜられることが望まれる。


* Department of Scientific and Industrial Research,Lending Library Unit.


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