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第2部   科学技術発展の基盤
第7章  普及活動
2  日常生活への普及
(3)  普及者による普及


マス・コミによる知識の流れが一方的なものであるのに対し,知識を交換することによって,普及の役割を努めようとする活動がある。現在そのような活動をしているものは 表2.26 の通りである。

表2.26 日常生活への地域普及組織

このうち農村生活改善普及事業では,生活改良普及員が全国の普及地区に,また専門技術員が公立農業試験場に併置されている生活改善展示実験施設や,都道府県に駐在している。保健指導は,人口10万を基準として全国に設けられた保健所が活動の根拠で,医師,保健婦,その他が配属されている。

生活改良普及員の活動目標は,家族労働力の保持,家事労働の軽減など農業に関する生産活動から要請される面が多い。また反面,日本の農家は自給性が高いので,生活改善のための資材は自己の営農から補給されることが多くなる。したがって,この場合の生活改善は,つねに農業生産の改良とともに進められるのが特徴である。保健婦の活動にも同じような面がある。活動対象の生活が零細であればあるほど,家族の生産労働に従事する度合は増し,時間的にも意識的にも保健への意欲はうすれてゆく。そして指導の側はますます必要性が増す一方,家族の生産労働に対する理解のないかぎり,何回指導を重ねても,その努力は実を結ばないのである。

そこでこれらの普及者には,画一的指導や一時的な宣伝では事足りず,個々のケースについての生産活動の理解と,そのケースに適した生活技術,保健技術を考えることが要求される。それを解決するために,生活改善普及事業では,1つには普及事業ではつには普及員の研修や体験の交換を行い,また組織的には普及員の活動を援助する普及方法,その他専門技術員を設け,さらに,農村生活の実態に適応するための生活技術を研究し実験する施設として,生活改善展示実験施設と実験農家とを持ち,各専門技術員がお互いに連絡研究しあいながら,その連用を行っている。このような系統的な組織が,内容を高めながら広く分布し,保健指導の分野はもちろん,広さの面では都市地域にもおよぶことが望まれる。

普及者の活動のうち個別的な指導では,たとえば厚生省の統計によると,保健所1ヵ所1ヵ月の平均実績は,保健婦の家庭訪問が延200件,一般住民に対する講演会,座談会,映画会,展示会等が13回程度となっている。この数字は現在員の行う他の検査や予防,衛生業務を考えあわせると過重な数字であり,それなりに同一の対象に対し問題が解決するまで指導を重ねることは,不可能であろう。そこで指導の重点化をはかるため,集団の指導が考えられるようになった。現存それらに該当する地域の自発的な集団は,農村における生活改善も実行グループが固定したもの3,400,固定しつつあるものが4,100,計7,500で,保健指導関係では,衛生自治会,衛生協会,衛生組合,町内部落会,青年団,農村クラブ,婦人会,PTAなどや生活改善実行グループをも含めて,約1,500集団,860万人を包括し地区衛生組織と名づける地域組織を考えている。

このほか,先に述べた社会教育関係の生活指導も重要な役割を果している。

また,普及者による普及とは別に,新生活運動やその他の組織が,おのおのの目的にしたがって行う啓発的な活動も,科学の普及に役立っているはずである。


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