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第2部   科学技術発展の基盤
第7章  普及活動
1  生産活動への普及
(2)  中小企業の技術普及問題


中小企業に対しては,公立試験研究機関の指導業務にみられるように,経営者に対する新技術の伝達的な指導が公共機関の手によって行われている。しかし経営者の技術に対する研究心の程度,企業の条件は,個々の企業によってまちまちであり,同じ中小企業でも個別的に技術伝達の具体的方法に工夫が必要となろう。また発明を奨励し,優秀なものを表彰することも研究心向上の1手段とはなり得るし,さらに,研究機関の利用を容易ならしめるような活動も必要となる。

大企業から小企業へと経営の規模が小さくなるにしたがい,経営全般にわたっての問題解決が,新技術の伝達よりも先決のものとなってくる。すぐれた各分野の既存の技術を総合的に経営にとり入れることが,企業の発展となるのである。過去の経験や教育の機会のうえからも,それらの経営者は,市場から目がはなれたり,経営要因の把握,観察,あるいは改善のための技術的な設計ができなかったり,経営組織として内部機能の分化が未熟であったりして,経営の組織を作り,固めてゆくという本来は企業自身の仕事が,企業外からの援助によってなされる場合がでてくる。中小企業診断制度による経営の診断指導,技術士の活動,協同組合の共同行為としての巡回指導がそれである。また,単に中小企業にかぎらず全般的なものとして行われているが,標準化や科学的管理法などの国や団体の行う普及活動も,企業の生産条件に作用し,技術の普及一般化を早める前提として考えられよう。

なお零細化がはげしくなればなるほど,経営に参加する人々の技術能力は劣り,最悪的には,家族労働が入ってくる。これらの労働は,近代的な職業教育をうける機会のなかった人が大部分で,親ゆずり,見様見まねのいわば職人的な技術が生産を支えている。職業の指導や教育があらゆる機会に,広範囲に行われることが問題となる。

また,このような零細な経営には,農業の場合にみられるような地域的な普及活動の必要性が,そのなかに含まれている。


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