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第2部   科学技術発展の基盤
第6章  科学技術者の育成
3  問題点
(2)  学校教育における問題点


優秀な科学技術者の育成にあたっては,学校教育に負うところが大きいのであるが,社会教育およびその他の一般教育をも重視しなくてはならない。学校教育において,高等教育機関による教育はもちろん,その裾野であり基盤である小,中,高校における教育の科学技術者育成に対して果す役割は非常に大きいのであるが,改善を要すべき点はきわめて多岐にわたっている。

スレートぶきの小屋の中におかれる100トン万能試験機

これに対し,文部省は,短大,工業高校のあり方をはじめ,小,中,高校の理科教育振興,一般教育と科学技術教育とのバランスの問題,その他教育方法,教科内容の改善などについて,中央教育審議会ほか各種の審議会に諮問し,検討を行っているが,このような検討に際し,科学技術の意見が十分にとり入れられるような配慮が望ましい。学校教育において,早急に解決がみられる点はつぎのとおりである。

施設・設備

小,中,高校における実験・実習に必要な施設・設備は,理科教育振興法,産業教育振興法によってある程度整備改善をみているが,技術の高度化にともなった整備計画に改訂し推進する必要がある。また大学院,大学,短大の施設・設備の充実,更新を緊急に実施することも当然である。

科学技術教育の施設・設備の充実にはばく大な経費が必要とされる。たとえば理科教育振興法による小,中,高校の設備拡充だけをみても,年々数%の増加はみているが,現在程度の予算規模では,予定計画の70%を達成するのに15年を要するといわれている。さらに大学の分も加えれば少なからざる金額となるので,現在の国家予算だけでは到底早期に目的を達成するとはおぼつかない状態である。私立学校における科学技術教育の施設,設備に対する一般の寄付金の免税措置も早急に研究する必要があろう。

大 学 院

指導的役割をもつ高度の科学技術者,資質の高い教員の育成の場として,大学院の果す役割はますます高くなってきている傾向にあるので,このためには優秀な人材が数多く大学院で養成されるようにすべきである。大学院学生に対する奨学資金の拡充増額,教職員の拡充,受入れ側の条件とか態度の改善などの措置が必要である。また職場にある科学技術者の再教育および研究の場として大学院の拡充の意義はきわめて大きい。

学校と産業界との連けい

産業界の現状は,日進月歩の近代的科学技術をたえずとり入れこれを応用消化している。一方,学校における実習,施設・設備は技術の進歩に常に遅れているので,実際に即した生産技術の理解,修得を学校教育の課程でうることはむずかしくなっている。

米国の産学協同教育制度,英国のサンドイツチシステムも注目すべき発達をとげ,良好な成績をあげている。この制度については,かつて通商産業省の産業合理化審議会で大学工学部学生の工場実習の必要性から考慮すべきことが答申された。わが国の教育施設の現状からみて,慎重に検討すべき問題点の1つであろう。


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