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第2部   科学技術発展の基盤
第6章  科学技術者の育成
2  世界のすう勢
(3)  米国


米国では終戦当時軍需産業から民需産業への切替えなどにより,高等教育機関の理,工系部門への進学が年々減少の傾向をたどっていたが,朝鮮動乱後産業界の発展により科学技術者の不足が顕著となり,一方,ソ連の科学技術教育におけるめざましい成果に対する不安などから,とくにやかましく論議されるにいたった。さらに産業界が学校から研究者の引抜きを行い,理科教員の不足を助長し,科学技術の推進に大きな障害をおよぼしている。

このような事態にあって大統領は1956年(昭和31年)4月,「科学技術者拡充委員会」(The National Committee for the Development of Scientists and Engineers)を設置し,科学技術者養成拡充に関する問題点の指摘,方策,効果的活用をはかるような処置をした。最近の人工衛星を機として,ますます科学技術者育成の問題を痛切に感じ,早急な解決策にのりだそうと,上記委員会組織の強力化がはかられ,科学技術教育振興計画の大綱が立てられた。

さらにこれを具体化するため大統領は,1958年(昭和33年)1月,議会に特別教書を送り,連邦および州の教育援助計画のため,4ヵ年に16億ドルを支出し,科学,数学部門の学生1万名に対し奨学金を与え,科学技術教育の強化のために,特別給費生制度の設置を行うことを要請している。しかし,米国の政治,行政の特質である分権的方式,さらに連邦政府の高等教育機関の活動に対する総合的調整,支配を行うための効果的手段を政府みずからがもっていないので,今後どのように教育の強化をはかるかが問題である。

学校教育の体系は州によって異なるが,小学校,高校の12年の課程終了後は大学(4年制)あるいは短期大学(2年制)に進学する。

現在,大学において科学技術教育の充実をはかるうえに,3つの問題点が提起されている。すなわち,

1) 今後ますます複雑化,高度化していく工学分野の4年制課程をいかに有効に活用するか。
2) 高度な専門技術者の要請から,大学院課程の重要性が加わってきいることに対する処置。
3) さらに深刻化する教員不足にどのように対処するか。 である。

高度の科学技術者の育成とならんで,技能者の養成については西欧諸国の寄せている関心はきわめて大きく,技能養成に関する制度は長い歴史をもち,ほとんどそれぞれの国の法律に基いて義務制となっており,産業教育のなかで重要な地位を占め,政府の補助のもとにきわめて積極的に行われている。

スイスにおける企業の技能者養成では,未成年者の96%が受講し,しかも授業料不要で15才以上の初等学校終了者を対象とし,養成期間は職種(187種)によって異り3〜5年である。

フランスもスイスと同じく義務制で,14才以上を対象とし通常3年の養成期間である。

英国は,1944年(昭和19年)の教育法の改正により,15才以上18才までの青年男女で全日制学校へゆかずに就職しているすべての者に対して,定時制学校入学が義務制となっており,養成期間は通常5年である。

米国は,16才以上の高校卒業程度を対象とし,平均3.5〜4年,職種は約300種におよんでいる。

科学技術者養成数のわが国と諸外国の資料は, 表2.23 のとおりである。しかし教育制度,科学技術者の雇用体系,科学技術者の範囲等がそれぞれ異っているので,一定基準で平等に取扱うことはできない。それゆえに1つの傾向として見る必要がある。

表2.23 わが国および諸外国の高等教育卒業者概数その他


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