ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第2部   科学技術発展の基盤
第6章  科学技術者の育成
1  わが国の現状と動向
(3)  学校教育によらない科学技術者の育成


学校教育以外の技術者,技能者の育成は,種々の機関によって行われているが,そのうち組織的なものとしては,労働基準法による技能者養成(企業体における熟練工養成),職業安定法による職業補導 *(1) ,各種学校制度 *(2) ,その他官公庁,会社内の実情に応じたものなどをあげることができる。

職場における科学技術者の再教育

職場にある技術者,技能者の再教育は一部の官庁においてはその歴史は古いが,戦後は官公庁,会社とも数多く実施されるようになってきた。これは職域に必要な技術,技能の向上をはかるとともに,経営の合理化を重要なねらいとする傾向になっている。今後の技術革新に対応するためには,将来指導的立場にたつ技術者の育成をも重視する必要がある。

官公庁の職員および国,公立試験研究機関の科学技術者の計画的な研修は,まことに微々たるものである。民間の科学技術者をも含めて,より高度の技術者として,大学院をはじめその施設,受入体制はきわめて貧弱である。

最近,官公庁および民間の研修機関の設置が活発化してきてはいるが,これらの上層部の職員の再教育に対する理解と熱意は消極的であるという批判が多い。


*(1)職業安定法に基き,公共職業補導所で失業者,身体障害者などを対象として行うもので,現在補導施設の数は345,年間修了者数約3万人である。


*(2)学校以外のもので,学校教育に準じ,またはこれに類する教育を行うもので,学科の種類は和洋裁,自動車,簿記,タイプ,理容,美容その他各般にわたり生徒数80万人におよんでいる。

技能者養成

近代産業の発達は,量産と自動化のもっとも進んだ欧米の例にみるごとく,熟練技能者の労働人口中に占める比率がいちじるしく増加してる。これに対しわが国では,労働力が過剰であるにもかかわらず,技能労働力の不足という現象を呈している。産業界は高度の技能労働力の確保を強く要請している。今後の産業発展に対して現状の技能労働力の不足は,重大な問題となっている。とくに中小企業の技能水準の低いことは,今後の経済の発展とくに輸出振興に対する大きな隘路となっており,しかも企業自体の能力および現行の技能者養成規程ではこの要請に応じえない事態にある。

技能者の養成は,労働基準法に基く技能者養成規程によって行われるもので,職業安定を目標とした短期間の職業補導とことなり,高度の技能労働力を養成するための3〜4年にわたる長期の技能訓練である。

技能者養成における実習

実施にあたっては,認可を受けた事業場が単独養成するものと,小企業が集団となって共同養成するものがある。昭和31年度調査によれば,養成機関1,440のうち53%が単独養成機関で,共同養成では10人以下の小企業が共同して実施しているものが圧倒的に多い。共同養成に対しては,昭和28年から国庫補助が行われているが,実質的の補助率はきわめて低い。

この技能者養成は,昭和22年開始以来,順調な進展をみたが,昭和28年を頂点として下降の傾向にある。この原因は実施に際して養成計画が確立していなかったこと;経済界の変動その他があげられているが,労働基準法の枠内において実施されていることも一部から批判の対象となっている。

このような事態にかんがみ,労働省では昭和32年,臨時職業訓練制度審議会を設けてこの対策を検討せしめたところ,同年末職業訓練制度の確立についてつぎのような答申がえられた。

1) 職業訓練計画の策定
2) 職業訓練における総合性の確保
3) 政府の行う職業訓練の強化,企業の行う職業訓練の振興
4) 技能検定制度の確立
5) 職業訓練法の制定

その他

一般的教育の向上を目的として設けられている青年学級,社会教育における公民館,図書館,博物館などは,その施設内容の不備,指導者の不足と低質などによって,実質的な効果が上っていないというのが現状である。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ