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第2部   科学技術発展の基盤
第6章  科学技術者の育成
1  わが国の現状と動向
(1)  戦後における科学技術教育振興への動き


わが国の科学技術者育成の動きは,昭和23年5月発足した経済復興計画委員会の技術部会で,戦後の経済復興のため,技術水準の計画的引あげに関連して今後の技術者の計画的養成の必要性を取りあげたのがはじまりであった。その後,産業界および大学の工科系教授の有志が集り,昭和26,27年にかけて,日本工業教育協会を設置し,工業教育推進に関する活発な運動を展開して今日におよんでいる。

また,産業界においても技術教育について強い関心を示した。たとえば,日本経営者団体連盟は,以前から特別委員委員会を設けて検討した結果,昭和31年末「新時代の要請に対応する技術教育に関する意見」を発表し,早急な育成対策をはかるべきことを指摘した。この意見はつぎのような広範囲にわたったもので,主要なものはつぎの5点である。すなわち,

◆ 今後の経済発展に対応する技術者,技能者の養成計画の樹立
◆ 義務教育における理科教育,職業教育の推進
◆ 勤労青少年の技能教育の刷新
◆ 初級技術者,監督者養成のための工業高校の充実
◆ 技術者養成のための理,工系大学教育の改善

さらに昭和32年12月ふたたび科学技術教育振興を要請している。このような動きは,各種の経済団体によってますます活発となってきている。

需要側からの強い要請に呼応し,国会をはじめ政府機関において科学技術教育振興に関する検討が加えられ,対策がたてられた。すなわち,昭和32年4月衆議院においては,「教員養成機関の改善と充実ならびに理数科教育および自然科学研究の振興に関する決議」を行い,小,中,高校および大学の科学技術教育の拡充措置を速かに講じなければならないと決議している。

また,日本学術会議による農業高校の科学教育の強化,工業技術の改善に関する要望,総理大臣の諮問機関である青少年問題協議会による科学技術教育の拡充についての答申,通商産業省の付属機関である産業合理化審議会の,産学協同教育制度 *(1) についての答申,労働省の臨時職業訓練制度審議会の職業訓練制度確立 *(2) についての答申,科学技術庁の科学技術審議会の科学技術教育振興に関する決議等,各機関によってこの問題が審議されてきている。

文部省においても,最近の科学技術振興に対する各方向の動きに対処し,科学技術教育の拡充を重要施策としてとりあげることとなり,昭和32年4月中央教育審議会に,科学技術教育の振興方策を諮問し,同年11月,その答申を見た。なお,新長期経済計画に見合う科学技術者の新規需要数に対する理,工系卒業者予定数の昭和37年度までの予想による不足約8,000人を充足するため,昭和33年度以降3ヵ年間に,国,公,私立の大学(短期大学を含む。)で学生増募を行い,これに必要な施設・設備を拡充しようとする科学技術者養成拡充計画ならびに科学技術教育質的充実計画の樹立などの対策が講ぜられた。

このように,科学技術教育振興が需要者側においても,また政府においても大きくとりあげられてきた。戦後科学技術が躍進的な発達をとげ,生産技術の面のみでなく,管理,経営の面にまで広く影きょうをもたらしたことは,科学技術者の需要を増大し,科学技術者に対する認識をより深め,さらに科学技術教育振興を重視するにいたらしめたもので,世界的な傾向となっている。

わが国においても,戦後の画期的な学制改革とともに,この大きな時流にそって,産業教育振興法,理科教育振興法があいついで制定され,科学技術教育の振興がはかられ,徐々にではあるが増加の傾向をみている。しかしその増加額は微々たるものである。


*(1)P.141参照


*(2)P.134参照


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