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第2部   科学技術発展の基盤
第3章  国際技術協力
2  技術協力の現状
(2)  わが国における技術協力の現状


最近,わが国にけおる技術協力への関心は次第に高まりつつある。現在アジア諸国に対する技術協力としては既述のとおり各種のものがあるが,わが国としてはそのいずれについても研修生をわが国に迎えて技術訓練を受けさせるとともに,コロンボ計画および国連の計画についてはわが国の専門技術者を派遣するという形でこれらの諸国へ寄与している。

またこのほか,最近は賠償によるものおよび中近東地域諸国からの要請などもあって,その種類は多岐にわたっている。

外国研修生の米作技術研修

処 理 機 関

技術協力を推進する政府機関としては,外務省をはじめ各関係省であるがこれら機関を補い助ける機関には,アジア協会(外務),国際学友会,日本エカフエ協会(外務),日本ユネスコ協会(文部),国際建設技術協会,海外建設協力協会(建設),FAP協会(農林),電気通信協会(郵政),日本輸出プラント技術協会などがある。

研修生の受入れ

アジア諸国,とくに東南アジアから経済開発計画を推進するための研修生の数は,近年累増の一途をたどりつつある。その受託数は表2,1.1に示してあるが,昭和32年10月末現在,累計946名に達している。中国の236名をはじめ,インド141名,フィリッピン103名,タイ92名,インドネシアの97名等が主要な部分を占めている。またこれを研修種目別にみると,農業の271名が最も多く,行政,軽工業,水産などおよそあらゆる部門を網羅している。

さらにこれをスポンサー別にみるとICA523名(58%),当該政府234名(26%),コロンボ計画108名(12%),国連各種援助機関31名(4%)となっている。しかし,受入れに対する応諾はいまだ低調であまりかんばしくない。昭和31年中の応諾率は78%で,昭和32年6月までのそれはさらに低く30%を下廻っている。また,応諾決定に要する期間も長くなっている。これらの原因として考えられることは,まず受入れがごく少数づつ散発的に要請してくるので,受入可能機関といえども時期的に不可能になったり,またこれらの受入態勢を積極的に強化増進する措置が講ぜられていないため,早急に応諾しかねている。そのほか受入れ機関の調査が十分に行われていないため,早急に適確な受入可能機関が得られない状態である。これらに対しては受入体制を相手国と十分に話し合いの上計画的かつ組織的に行うことが望まれ,また受入機関に対しは十分その意図の協力方を求め,適切な措置を講ずるこ望とがまれる。つぎに受入れた研修生はそれぞれ素養,技術,経営,企業等に関する知識経験に大きな開きがあるので,これらを一応均等化するために,受入資格の均一化が要望される。一部日本語の短期学習を行っているが,これを徹底して研修をより効果的にするために,基礎的かつ共通的な研修機関の設置が切望されている。

外国研修生のワクチン製造技術研修

専門技術者の派遣

専門技術者のアジア諸国に対する派遣数は研修生の受入れ数に比較すると,現状では少人数である。しかしわが国は,すでに国連拡大技術援助計画,コロンボ計画に参加して技術供与国としての義務を担っているとともに・アジア諸国の経済開発方式がようやく過去の西欧依存を脱却して自主的計画の樹立と運営を目指して修正されつつある傾向にかんがみ,これら諸国がわが国の技術に対する援助要望の声は,日を追って高まってきている。したがって,この需要にこたえるわが国の専門技術者の大量送出が大いに期待されるゆえんである。 表2.12 は,昭和32年10月末の専門技術者の派遣状況であるが,累計104名となっている。この表より明らかなように,農業,漁業および中小企業関係が最も多くを占めている。しかし実際にこれら諸国より要請されている専門技術者数はさらに上廻っている。この派遣要請に対する応諾率は,昭和31年が34%,昭和32年が30%でいずれも低位を示している。

その理由としては,語学力の不足や健康上の理由にも幾分よるが,当該国政府との事務連絡に意外の日時を要するため,双方の事情に漸次異動を生じて,ついに話し合いが不調におわる場合が少くない。これは要請先の需要計画が相当粗漏であることも考えられるが,わが国としてもまだ専門技術者の動員体制が不十分であることが指摘されなければならない。

すなわち,この改善策としては次のことが考えられるであろう。

1) 派遣を希望する専門技術者は常時登録しておき派遣要請のあった場合は直ちに要請に応じ得る態勢を整えておくことが望まれる。
2) 派遣技術者の給与を改善し,出張中および帰国後の身分保証をすることが望まれる。
3) 派遣技術者が現地で能率的に活動できるように,あらかじめ語学,現地事情等の予備教育をすることが要望される。

以上のような研修生の受入れや専門技術者の派遣は,単に知識や技術の交流に終ることなく,その間に相互の理解と人間的親愛をうえつけ,国際信頼をさらに拡大することによって,今後の技術協力活動を発展させることが要望される。


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