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第2部   科学技術発展の基盤
第2章  外国技術導入
1  外国技術とわが国の産業


明治初期に,すでに完成されていた欧米先進国の技術をとり入れて,近代化へふみきったわが国の産業は,その後これら外国技術の消化とともにみずからの研究成果を加えながらめざましい発展をとげてきたが,その技術のほとんどが外国技術依存から完全に脱却していたとはいえない。さらに,これらの技術はわが国が工業国として地歩をかためてゆくうえに大きな役割を果したことは事実であるとしても,功を急ぐという傾向から,直接的な効果に重点がおかれ新しいものをうみだす基礎の育成を忘れていた。

このことは,戦時中外国技術との接触が完全に遮断されたときにとくにはっきりと認識された。戦後,外国との交流が再開されたとき,この間の空白が予想以上に大きく,さらに技術進歩の速さがますます大きくなっていることを考えたとき,この空白を取りもどすことすら不可能だと思われた。

当時,わが国にとって科学技術振興の必要性が強調されたのは当然であるが,急速に研究体制を整備し,国内の努力を結集するとしても,今日の科学技術の進歩がみずから築いた基礎を背景として達成されるものであるだけに,早急にその効果をあげることはできず,技術導入が再開された当初にほとんど無条件に外国技術を吸収せざるをえなかった。

戦後の外国技術の導入1つ1つについて反省すれば,時に無用なものもありいろいろと批判されているものもあるが,概してやむをえないものと認められる。しかも導入された技術は,わが国の技術水準を飛躍的に向上させ,経済自立の原動力となり,今日のような発展をもたらした点を考慮すれば,この間に支払われた400億円の外貨をつぐなってあまりあるものといえよう。

しかし,わが国の技術も,もはや戦後の復興をおえ,将来の発展をはかるべき質的転換期に際しながら,なお安易な考え方で外国の技術を導入し,国内の研究努力を等閑視する風潮がみられ,この際,将来のあり方を根本的に考察しなければならない時期に到達している。

しかしながら,これは,技術進歩の速さと,わが国のおかれた経済的立場,国際競争の激しさなどを考えれば,単に国産技術万能論や,外国技術一辺倒といった単純な議論に終るべきではなく,両者の重要性を正しく認識したうえでその対策がたてられるべき問題と考えられる。


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