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第2部   科学技術発展の基盤
第1章  研究活動
8  諸外国の研究活動
(1)  米国


米国における戦後の科学技術研究施策の基調となっているのはスチールマン報告である。その勧告にもどずき,基礎研究の振興,科学技術教育の拡大が戦後における一貫したモットーとなっているが,この傾向はソ連との対比により,最近いっそう拍車をかけられている。

研究行政面で,特色をもっている機関は,国家科学本部(National ScienceFoundation NSF)である。

NSFは前記スチールマン報告にもとずいて,独立政府機関として1950年(昭和25年)に設置され,基礎研究の振興,フェローシップ,スカラシップの交付等による科学技術教育に対する援助,科学技術に関する情報の交流や基礎調査の実施等広範囲な活動を行っている。またこの機関は,所掌事項に関連して,大統領に勧告する権限をももっている。

政府研究のおもなものは,国防省,原子力委員会,農務省,内務省,商務省の業務と関連して行われているものであるが,これらのうち,もっとも大きなウェイトをしめている国防省の研究予算の約70%は部外に対する委託研究にあてられている。上記各省のほか,特徴のあるものとしては,テネシイ河域公社,スミソン科学博物館があり,前者はその名の示す如く,テネシイ河域の開発のため研究を行い,後者は米国におけるもっとも古い歴史をもった研究機関として知られている。

大学,産業界ともに政府からの研究委託により研究費には恵まれている。ただ大学では,教育に役立ない研究は引きうけないという考え方に徹しているのが,この国の特徴といえよう。

表2.3 米国の財源別,実施別の研究費

図2.20 米国産業界の研究費の推移

民間企業における研究活動の顕著な傾向は基礎研究を重視しはじめていることで,たとえば化学工業,計測器工業では,全研究費にしめる基礎研究費の比率は,それぞれ10.5%,6.8%で,全産業平均でも4.1%である。民間企業における研究費の売上高に対する比率を表2.3に示す。これでみると航空機工業,電気機械工業では比率は高いがここでは政府からの委託研究費が大きなウェイトをしめている。一方化学工業等では,政府その他からの委託研究はほとんどなく独力で研究を行っていることがわかる。

数は少いが研究体制面からみて,特色のあるものとして,受託研究専門機関(Sponsored research institutes)がある。有名なメロン,バテーエ,アーマー,スタンフォードなどの研究所はこれに属しており,非・営利機関として運営されている。研究を委託されるおもな得意先は,政府と民間の大企業で,人と設備の面で便宜を得られないときにこれらの研究所を利用している。米国にはこのほか研究会社が数多く存在しているが,研究が営利業務としてなりたつということはこの国らしい特色といえる。

表2.4 米国産業における研究費の売上高に対する比率


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