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第2部   科学技術発展の基盤
第1章  研究活動
3  国立試験研究機関


国立試験研究機関の研究業務は,次のように大別することができる。

(1) 産業技術向上のための研究

これは事業体が概して零細で研究能力を欠く農林,水産,中小企業の技術の研究や,鉱工業技術の,リスクの大きなものおよび共通的な問題の研究等である。また国の行政事務,現業業務や公社等の国営事業にともなう建設,運輸,通信等の技術の研究がある。

(2) 国全般にかかわる共通的,基礎的業務の研究

国民生活,産業活動の全般に関係のある共通的,基礎的業務の研究である。たとえば標準の維持設定の研究,自然現象(気象,電波,緯度等に関する)の観測,予報,研究および地理,地質等の国土の調査,研究等がある。

図2.5 国立試験研究機関の予算の動向

図2.6 国立試験研究機関の従業者,研究者,支出総額,研究費

(3) 国民の保健,福祉の研究

公衆衛生,保健等の行政業務にともなって必要とされる研究である。

(4) 他の国家業務に関する研究

このほかの国家業務に関するものとしては,国防,治安等に関連した研究がある。

このような研究のほかに,標準,検定規格制定に関する各種の試験業務および依頼による検査分析等の業務のしめる比率もかなり大である。

国立試験研究機関の業務は以上のように分類されるが,各機関はこれらの業務のいくつかを兼ねているものが多い。

国立試験研究機関の活動は戦後次第に拡大してきており,その状況は図2.5に示される予算の動向によっても明らかであろう。しかしこの傾向にもかかわらず現状は必ずしも経費的にはその機能を発揮させるに十分なものとはいえない。

科学技術関係の国立試験研究機関の状況は 図2.6 , 図2.7 のとおりである。研究費の学問別構成においては工学,農学のしめる比率が高いが,とくに全国総数との比較においては農学がもっとも高く,公立試験研究機関のものをあわせると60%に達し,農林水産業において国立,公立試験研究機関の果している役割は大きいことがわかる。医学では公衆衛生に関する研究について国立試験研究機関の果している役割は大きい。またこの統計では病院における医療研究が除かれているが,国立病院のこの面における研究はかなり活発である。理学では気象,緯度,統計数理,遺伝等の基礎研究がある。

図2.7 国立試験研究機関の研究費の学問別構成比率

国立試験研究機関で行われる研究は,主として実用化を目的とするものであるが,これらの現状はどうであろうか。

すでに第1節に示したように通産省では工業技術院,農林省では農林水産技術会議,また建設省では建設技術研究協議会等があり,行政当局等の密接な連けいのもとに研究課題の撰定,研究機関の相互調整が行われていて,試験研究機関の機能の強化に貢けんしている。このように多くの機関において研究計画の重要性が認識され努力が払われつつあり,今後その成果が期待されている。

しかし研究要員や研究施設については問題がある。研究要員は一般にその待遇が悪く,民間に比してはもちろん,しばしば行政機関のものよりも低位におかれており,優秀な人材を吸収することが困難となっている。研究施設については次第に整備されてきたとはいえ,最近の研究は高い精度と能率的な機器施設を必要とするので,なお不十分な状態にある。


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