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第2部   科学技術発展の基盤
第1章  研究活動
2  わが国の研究活動の概況


科学技術の進歩とともに,わが国の研究活動もあらゆる組織,産業にわたって広く行われている。これらの研究活動の概況は総理府統計局の「研究機関基本統計調査」 * の統計数値によって推察することができる。昭和32年調査の詳細な数値は 表2.6 に示す。

全国の科学技術関係の研究機関の状況は 図2.1 のとおりであるが,戦後の経済回復とともに研究活動も漸次活発化し,その状況は 図2.2 の研究費の推移によって示される。

図2.1 全国研究機関の従業者,研究費


* 「研究機関基本統計調査」は,統計法に基く指定統計として昭和28年4月調査以来,毎年4月1日現在で全国の研究機関を対象に実施される組織別,学問別(人文科学を含む。)産業別の研究活動の調査である。

学問別は,法学,文学,経済学,理学,工学,農学,医学,その他と分類されるが,本章では科学技術として理学,工学,農学,医学のみを対象としている。

従業者は4月1日現在に研究機関に所属する従業者であり,これは「研究者」「研究補助者」「技術関係者」「事務およびその他の関係者」の4種に区分される。「研究者」は,大学卒業後5年以上のもの,またはこれと同等の研究者の資格ありと認められたもので,研究業務に従事しているものである。

支出額は,調査日より過去1ヵ年間の研究機関の支出を,外部から委託または寄付により得た収入からの支出を含めて,業務別,費目別に調査される。

業務別支出は,「研究業務」「研究に関係のない技術業務」「事務およびその他の業務」に区分される。「研究業務」の支出は,研究(研究にともなう検査,検定または分析等の技術関係業務を含む。)に要した一切の支出であり,研究に関係のない単なる検査,検定に要した技術関係業務の一切の支出,庶務会計の事務およびその他の業務に要した支出は含まれない。したがって研究業務の支出額は研究費とみなすことができるので,本章では研究業務支出額をもって研究費とする。

図2.2 全国研究機関の研究費の推移

図2.3 学問別の研究機関従業者研究費の構成比率

その学問別状況は,工学が従業者,研究費ともにもっとも多く,ついで農学,医学がほぼ等しく,理学がもっとも少ない。

研究機関は経営の組織別により,国立,公立,公益法人,営利法人(民間企業),法人でない団体,個人,大学,大学附置研究所に分類できるが,このうち法人でない団体,個人のものの研究は僅少であるのでのべないこととする。

図2.4 学問別,組織別の研究費と全国総数との比較

組織別の状況では民間企業,大学の研究活動が他の組織に比し大である。ついで国立,公立,大学附置研究所,公益法人の順である。なお大学は教育と研究は一体化していてその分離は困難であり,研究従事者,および研究費の統計数値は,純粋に研究にかぎると,実際にはこの数値を下まわるであろう。

産業別の研究の分担は,これらの組織別の研究機関と深い関連を有している。農林水産業においては,生産にあたる事業体はおもに農漁村の各農漁家で,事業規模や資力はきわめて弱小であるため,独力で研究を行い得ず,技術の改良は停滞しがちである。このため国立,公立試験研究機関が全国に広く配置され,生産者に代り気候風土を異にした生産現場において,技術改善のために応用研究を行い技術の指導普及を行っている。

鉱工業は,技術の進歩が生産活動にいちじるしい影響を与える産業であり,企業を競争のなかで有利に発展させるには研究がとくに必要とされる。また,企業の規模も農林水産業に比し,はるかに大なるものが多く,独力によって応用,開発研究を実施している。したがって民間の研究機関のほとんどがこの産業に属し,その大部分の研究を実施している。国立試験研究機関も,産業育成の観点から,産業共通の技術や採算上の危険度がたかく民間が実施できない基礎,応用,開発の研究を行っている。公立試験研究機関は主として,研究を実施し得ない中小企業に対し,技術の情報を提供し,技術指導を行い,みずからもこれらの企業のための応用研究を行っている。

医学のように国民の福祉に重大な関連があるものは,国立,公立試験研究機関および病院が重要な役割を果し,基礎,応用研究を行っている。とくに医療関係の研究については病院が行っている。

大学および大学付置研究所は基礎研究を主体としているが,応用研究においてもかなりの役割を果しており,とくに農学や医学の方面ではいちじるしい。

なお,特殊法人として設置された日本原子力研究所や,戦後株式会社組織として運営されてきた科学研究所が研究に果している役割も見逃せない。


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