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第1部   総説
第4章  前進への道
1  進むべき方向


偉容をほこる新型高炉

科学技術の進展は,世界的つぎつぎと新しい可能性を実現しつくある。これに対応して欧米諸国は科学技術にこぞって力を入れているのが近時のすう勢であって,教育や研究にぼう大な国費を投じている。

しかしそこに見出されるものは,2大陣営の対立による国際競争を原動力として,軍事を中心とした科学技術に国力を注ぎ,それによって他の分野の科学技術がけん引されている姿である。科学技術の振興の契機を国防に求めている海外大国の実状は,科学技術全般の進展のための効果という点からは,跛行的であるとともに,迂回的な面がめだっている。

これに対してわが国は諸外国の動向にもかかわらず,国家の繁栄と国民の生活向上をめざす平和的な独自の道を推しすすめるため,これに必要な科学技術の進歩に格段の力を注ぐならば,その成果は期して待つべきものがあろう。

今後の科学技術振興をはかるうえの方向と問題点とは,第1章においていくつかの角度で指摘した。もとより科学技術の振興には多面にわたる措置を必要とするものであるが,わが国として当面とくに力を注ぐべき方向は次の2点に集約されるであろう。

第1には,開発研究の強化を主軸とする研究の振興である。ここでは新しいものを切り開いてゆく科学技術者の熱情と,経営者のパイオニア的精神を旺盛にし,その効率化のための研究管理が要請される。

第2には,科学技術の担い手である人材の養成の強化である。科学技術の進展を推進するすぐれた人材を確保し,安定させるための優遇策と教育機能の充実が必要である。

さらに今後の科学技術の振興をはかるにあたっては次の諸点を考慮しなければならない。

まず要請されることは一貫した構想にもとづいて推進することである。科学技術の振興といっても,すべての分野にわたりすべての問題を総花的に行うことをさけ,人の能力や経費の点を十分に考慮し,長期的観点にたって総合的におし進めることである。しかし,その実施にあたっては諸外国における研究や技術開発の状況,わが国経済の見通しに基く要請や,研究陣,技術陣の実力等を慎重に考慮のうえ,力を注ぐ重点を定めるべきであろう。しかし,重点化の行きすぎは逆に科学技術の発展を阻害する結果をまねくことになる。現代の科学技術が総合的所産であることはいくたの事実によって示されている。したがって,その重点化も均衡的発展を阻害するものであってはならないことに留意すべきである。このことは科学技術の各分野において必要であるように,科学と技術の間においても必要である。科学技術という一体化された表現にみられるように,科学と技術の接近は現代の最大の特色である。この両者の均衡した発展をはかるための努力が肝要である。また,この際必須な要件として科学技術者の能力,経費,施設の効率的使用があるが,さらに学界や産業界の協調による共同研究や研究施設の共用等をも具体化することが要請されるであろう。


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