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第1部   総説
第3章  わが国科学技術の諸問題
4  科学技術の担い手としての人
(2)  国民への科学教育


科学教育の機会

最近,わが国でも人々が科学技術に触れる機会が多くなった。科学技術についての事件や,輝かしい成果が伝えられ,それにつれて,子どもから大人にいたるまで,科学技術に生活の夢を託すようになった。科学技術振興のための人の問題は,これまで述べた専門家の養成のほかに,科学技術および科学技術者の,広い背景としての国民各層の科学的なものの考え方,科学的な行動のしかたにまでおよばなければならない。科学技術に託されたわずかの夢でも,それを健全にのばす教育の機会があれば,やがては人々がみずから科学技術を用いようとする活動に発展するはずである。

国民の素養として科学が教育される最初の機会は,小,中学校の義務教育の段階における理,数科教育である。全国民に共通的でありかつ基本的な機会であるだけに,理,数科教育は重要であるが,現状では,理,数科教育に不可欠の実験実習に貧弱な面がみられる。また,子どものための社会的な施設として,諸外国でさかんな児童科学館が仙台市,八幡市,静岡市などで設置され,その利用が平日で2,000人に達すると報道されている。子どもに対する学校および校外の科学教育の充実と機会の拡大がまず望まれる。

青少年および成人に対する社会の場での教育の機会には,青年学級,成人学級などの公民館活動,農家を対象とする生活改善普及事業,保健衛生についての保健婦の活動,その他いわゆる人による教育活動があげられる,これらは顕著な効果をあげているが,人員,資材などの面ではきわめてめぐまれない状況にある。

このほか,国民の日常生活に深く根ざしているラジオ,テレビ,新聞,雑誌,映画などのマスコミュニケーションの力も軽視することはできない。昨今マスコミの教育性が重視され,科学についての教養的内容が増加する傾向にあるが,現在はまだ微々たるものである。

科学技術グループの拡大

教育の機会のそのような現状に対し,自分の生活にみずから科学技術を用いようとする集団や,与えられた教育の機会を積極的に利用しようとする動きも決して少くない。たとえば,農村における青少年クラブ,生活改善実行グループ,一般的なものとして地域青年団,婦人団体PTA,保健の会,あるいは児童,生徒の科学クラブ,さらにラジオの集団聴取や読書会などのマスコミの利用活動のなかにも,その動きがみられる。そしてこれらの集団的な活動のなかで,お互いが啓発されることが多く,このようなグループが国民の各層に拡大され普遍化されてゆくことは,それだけ科学が国民の間に根をおろしてゆくことになる。


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