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第1部   総説
第3章  わが国科学技術の諸問題
3  技術の適用と普及
(3)  今後の課題


国立,公立の試験研究機関,標準,特許,技術士制度,学,協会活動,情報サービス活動などは,それぞれ科学技術の普及を強化するうえに重要な意義と役割をもっており,これら組織の充実,適正能率的な運営,活動の活発化などはすべて今後の課題である。また経済的,社会的条件の改善とか政策的助成なども今後にまつところが大きい。とくに今後における課題としては技術の源泉たる研究の強化,技術手段を提供する資本財工業の充実,技術をうみ,使い,発展させてゆく,“人”の技術的能力の向上などが必要である。

技術の源泉の強化

技術の適用と普及にとって,技術の源泉が国内で得られることの有利なことは前述したとおりである。基礎ならびに応用研究の充実によって技術の芽を育てるとともに,それをすみやかに効果的に,実際に結びつける開発研究の強化をはかる必要がある。と同時に,研究の推進にとって,その研究成果を求める市場の存在が必要であることはいうまでもない。国内における開発研究の成果が,生産あるいは実際の場に円滑に適用され得るような環境をつくりだすことも重要なことである。また,生産に結びついた技術は実際的なものであるため,生産技術につねに改良を加え,技術者の経験として,あるいは技術資料として蓄積することによって技術に対する信頼を高めることが,技術の向上と普及に重要な意義をもち,これはきらに次の進歩をうむ基礎になるものである。そしてこういった経験の蓄積と信頼性の高さが技術を発揮するチャンスを掴みやすくする,というように好ましい循環をうむことになる。技術を駆使するチャンスの多いところに技術の進歩と普及が促進されることは当然であって,このためには技術を求め,技術進歩に刺げきを与え,その普及を促すに足るだけの,量的,質的に大きな市場の存在は欠くことができない。輸入品にかえて国産品使用がさかんに行われることもこの意味で技術進歩と普及に貢けんする。

資本財工業の振興

資本財工業はあらゆる分野に技術手段を提供し,その技術水準および技術の普及の程度を左右する重要な存在であり,国の基本工業とされている。機械加工の精度,能率を決定する金属加工機械,工作機械;農業鉱業,化学工業,運輸,通信,建設などの技術を具現するための各種機器,産業機械;医療技術を具体化する医療,光学,検査機器;研究手段に必要な各種測定機器,などを提供する資本財工業が技術的に高い能力を有し,需要産業や技術分野の要求に即応し得ることが,技術の適用と普及を円滑ならしめる不可欠の要件である。

技術を担う人

近代技術の急速な進歩にともない,技術をうみ,それを普及する側でも,またそれを受けとる側においても,技術を担う人の役割はきわめて大きくなっている。研究者,技術者の養成はもとより大切であるが,これとともに,中小企業に高い能力をもった技術者が進出してゆくようになること,あるいは技術者が企業のなかで能力に適し,能力を発揮し得る地位に適正配置されるといったことも必要である。さらに,技術の進歩に応じ得るように研究者,技術者,技能者などを再訓練,再教育し,あるいはまた農業などにおいて,技術を受けとる側の啓発,教育を行うといったことも忘れてはならない課題である。


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