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第1部   総説
第3章  わが国科学技術の諸問題
2  源泉としての研究
(3)  隘路の指摘


今後国内研究活動を中心にして科学技術の自主発展をはかっていくためには,国民全般の理解と協力のもとで研究費,研究者の両面で規模の拡大をはかることが必要であることはもちろんであるが,このほかに内容的にもまた改善しなければならない問題が残っている。

このなかでもっとも大きな問題と考えられるものは,開発研究の強化,「研究の研究」の推進である。このほかにも研究の総合化,専門化の傾向に対処するために共同研究の推進,契約研究制度の普及などを考慮する必要がある。

開発研究の強化

わが国では科学の分野で,世界的業績をあげている例がしばしばみられ,基礎研究およびこれに続く応用研究の面では,研究費,施設等の充実をはかれば,今後ともいろいろの芽ができることが期待できよう。しかし,実験室,研究所等の応用段階で成功しても,必ずしも技術として企業規模でうまくいくとはかぎらず,それらのなかから適当なものを選びだして,試作や中間規模試験を行って,企業化できる技術として育てあげるまでには,かなりの資金と多数の専門家の協力による実際的な努力と日時が必要である。この応用研究と技術とを結ぶ段階が開発研究である。開発研究に適切な題目を選び,これを仕上げていく点では,わが国ではこれまできわめて不十分であったといわなければならない。

開発研究が適切に行い得るならば,わが国には利用しうる基礎研究や応用研究での成果は少なからず存在する。また開発研究が次々と行われるならば,これに応じて応用研究,基礎研究が刺げきされ,新らたな成果をうみだすことになり,わが国の科学技術の通へいともいうべき科学と技術の分離の問題は解決を見るであろう。

開発すべき技術の芽としては,国内で生れたもののみならず,海外で生れた芽もどしどし利用すべきで,世界一流の域に達しているわが国のいくつかの技術,たとえば電子顕微鏡,マイクロウェーブ,抗生物質のごときはいずれも海.外で生れたものを,別個にわが国独自の努力で仕上げたものであり,国鉄で完成した交流電化とともに誇るにたるものである。

研究の目的が成果の企業化にあり,わが国には基礎研究,応用研究面ではある程度のすぐれた成果をあげている以上,研究実用化の流れにおける隘路が,開発研究の不足にあることは誰の目にも明らかである。とくに工業部門においては企業化に直結する民間企業における研究の場を強化することを国家的に重視し,今後方策を講ずる必要がある。

わが国で育て世界水準に達した開発研究の成果,マイクロウェーブ方式

「研究の研究」の推進

研究活動が次第に拡大されつつある現在,研究をいかに能率的に行い,成果をいかに有効に利用すべきがという問題に対する関心が世界的に高まりつつある。最近の研究は,少人数の同一分野の研究者の研究から,広い範囲にわたった多数の研究者が協同し,組織的総合的に行う研究へとその性格を変化してきた。このような変化のもとに研究者の独創力をいかし研究を効果的に進めることや,多くの題目のなかから何を選びだし,何を伸ばし,何を打ちきるかという評価の問題など,すなわち,「研究の研究」を進めることがきわめて重要なものとなっている。

これらは,欧米諸国でも新しくおこってきた問題であって,研究が進められている段階にある。わが国でもこの方面への関心は,最近高まってきており,資源調査会においても「実用化を目的とする科学技術研究管理方式に関する勧告」が出されているものの,いまだ一般には芽生えの段階にあるといってよい。今後研究の振興をはかるべきわが国として,人員や経費を増すほかに,この「研究の研究」の問題と真剣に取組むべきであると考えられる。


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