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第1部   総説
第3章  わが国科学技術の諸問題
2  源泉としての研究
(2)  研究と技術導入


わが国の技術がその発展過程でも,また現在においても引続き外国技術に依存してきていることは各所でのべているとおりである。このような状態から一日も早く脱却して自主発展の道を歩むことこそ,最大の課題といわねばならない。この際技術の源泉としての研究は,その鍵を握るものといえよう。

このような状態において外国技術導入の対価の支払は昭和31年度において120億円に達しており,なお今後増加するものとみられる。これは現在の産業界の研究投資年額200億円にくらべてかなり大きいことがめだつが,全輸入外貨支払額と比較すれば,1%程度にすぎず結果として得られる輸出等により十分回収されている状況にある。

さらにさきにものべたように,技術の商品化の世界的すう勢にともなって,国際的な技術の交流はきわめてさかんになってきている。おそらく先進諸国の技術導入は,その数もその対価支払額も,わが国よりはるかに大きいにちがいない。ただ先進国の場合は,技術導入に相当するだけの技術の輸出を行って,バランスがとれているのに対して,わが国の場合ほとんどそれが一方的になっていることが最大の問題である。

昭和25年から昭和31年度末までに,わが国から輸出された技術は合計69件で金額にして,同期間の技術導入対価支払額の1%強,4億円程度にすぎない。

しかもその大半は後進国向のもので,技術導入の相手国である欧米に対しては,ビタミンB1 ,ロイコマイシン,ナイトロミン,尿素,MT磁石などの製造に関するものがあるが,合計10件にも達していない。

このように現在輸出すべき技術がないことは過去の依存体制の帰結として必然的ともみられるが,これを打破すべき研究活動は乏しい要員と経費を,導入技術消化のための研究にかなりの部分が費されて,新しい技術をうみだす余地をなくしている現状であり,またとくに重要なことは,経営者,研究者の意欲の面から,技術導入は研究を沈滞させる原因となっていることを指摘しておかねばならない。

技術導入は独自の技術を育てるべき研究活動に影きようをおよぼすところに問題が存するのである。先進国の新産業技術が,いずれも過去10年ないし20年にわたる研究活動の結実であり,また,現在の研究投資の相当部分が,将来の新産業をうむために費されていることを考えると,わが国の場合,現在の依存体制から脱却するには画期的努力が要請されるのであって,かつての西独や米国がなしとげたように,国内研究を強化拡充することによって,技術導入に見合うだけの技術の輸出を可能にしなければならない。最近米国などでは,交換できる自分の技術をもっていなければ,必要な技術を買えなくなってきているとさえいわれる。対等な立場での技術交流こそ,一方的外国技術依存から脱却するもっとも望ましい姿であり,それを実現する唯一の道は,国内研究の強化,とくに開発研究の重点的な強化である。


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