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第1部   総説
第2章  科学技術の一般動向とわが国の現状
2  現代の科学技術に見られる傾向とわが国の現状,
(5)  自然の構造的把握による利用の進展


自然を一体的なものとして把握し,これにしたがって資源の利用を最も効率的に行うよう個々の技術のあり方をきめてゆこうとする傾向は,自然を直接対象とする農林,水産,土木などの分野において顕著にみられる。これは人類の自然への働きかけが,高度かつ大規模になってきたため,自然をさらに能率的に利用しようとする意図にもとずくものであって,河川の総合利用,土地の総合利用,干拓さらに流域管理などがその例である。

自然に働きかける干拓事業の1例

河川の利用は,水力発電,潅漑,工業用水への利用,水運,土地改良などいろいろの角度から行われ,さらに治水の観点からも水を管理する必要があるが,これらを個々の立場からのみ行ったのでは,多くの無駄がでるとともに,相互に抵しよくして総合的な効果を収めることが困難である。したがって自然を構造的にとらえ,広範な地域にわたる諸問題を総合的に処理することによって成果を収めようとするのであるが,水の総合利用の例としては,第2次大戦前に米国で行われた,日本の面積ぐらいの地域を含むテネシイ流域の総合開発がある。

また英国が第2次大戦中に土地の生産力を最大に利用して,食糧増産をはかるため,徹底的な調査に基いて利用形熊をきめて成果をあげたことも同様の事例といえる。

石炭,石油,水力,原子力などを含めたエネルギの開発と利用を総合的に処理してゆこうとする傾向もこの種のものとみられる。わが国でも,エネルギの,総合利用が叫ばれ,そのための科学技術の必要性が強調されている。

愛知用水事業や多目的ダムの建設にみられるように,近時このような開発方一式が行われてきているが,わが国の自然条件は,とくにこのような総合的な計画にもとづいた各技術の協調によってのみ解決しうる多くの問題をかかえている。


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