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第1部   総説
第2章  科学技術の一般動向とわが国の現状
2  現代の科学技術に見られる傾向とわが国の現状,
(4)  技術の商品化


技術の進歩の速度が早くなり,また産業の近代化や,流通の広範化により,過去のように技術を独占することが必ずしも有利でなくなって,相当の対価を受取って他の企業に技術を譲りわたすという慣習がうまれた。技術そのものが商品として国内はもちろん国際的にも取引され,優秀な技術は必要なときはどしどし譲りうけ,また自国で開発した技術は,他の国々へ輸出し,その開発に要した研究費の回収を,自己の生産以外にも求めるようになっている。

たとえば,ポリエチレンは,高圧プロセスが英国で実用化され,米国はこれを導入して工業化し,その後,西独でうみだされた低圧プロセスも,米国や英国で実用化された。イタリーの研究成果であるポリスチレンは,欧州各国や米国がこれを導入し,工業的に完成させ,新しい工業上,または消費上の応用分野を開発したものである。このように技術を国際的に交流することがさかんになり,とくに,外国の基礎的な研究成果をいちはやくとり入れ,それを工業的に完成させることによって,基礎から応用への速度を早めようとする傾向がみられ,国内の研究活動の強化と相まって,その国の技術進歩の速度をいちじるしく高める結果となっている。

わが国の場合,国内研究活動の劣勢と,外国依存の傾向から一方的な技術の受け入れに終始し,次章に述べるように医薬品製造技術など数件が海外へ進出している程度にすぎない。しかも世界的な傾向とは逆にその内容は完成技術に重点がおかれ,基礎的なものを導入し,それを工業化しようとする意慾がみられない。

国内企業間においても,技術の交流はまだ商慣習として一般化するにいたっていない。したがって,既成技術の国内研究活動をさかんにして新しい技術をうみだし,国内交流をさかんにすることはもちろん,正常な国際技術交流へのりだしうる体制を整えることが要望される。


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